DVD 「いのちの食べかた」
衝撃的でした。
偶然見つけたこの作品は、タイトルに惹かれました。
これは、わたしたちの食物が、「食べ物」となるまえの状態のドキュメンタリーです。
ナレーションはいっさいなく、音楽BGMも何もなく、ただただ、無言で作業をしていく人々の光景が延々と続きます。
機械で、飛行機で、作物に農薬をばらまいている様子。
機械で、作物のいのちを、ザクザク刈り取っている光景。
たばこをプカプカ吸っている、農夫。
そのたばこ臭い手で、一つ一つ、野菜の収穫をしている姿。
黄色いちいさなひよこたちは、くだり坂になっているステンレスの道を滑り落ちてきて、
ピヨピヨ鳴いているその子たちを、まるで、テニスボールを掴むかのように捕まえて、
体に、なにか印をつけていく。
この子はダメだ、と判断すると、足もとの入れ物に、ポイッ、と投げ捨てる。
まるで、本当にボールのように。
鳴き叫び、大暴れする子ブタを仰向けに機械に設置して、頭を固定し、後ろ脚を開かせる。
股のあたりを刃物で何かしている。
ナレーションがないので何をしているのかわからないが、体の一部を刃物で切断しているようだ。
黙々と、手を動かす作業員。 泣き叫ぶ、子ブタたち。
尻尾を切られて、ベルトコンベアーで流されていく魚。
仰向けにされて、流れ作業で、刃物に設置され、お腹をパックリと割かれていく。
眼は色を失い、アングリと開いた口が、パクパク動いていた。
丸々と太った豚が、ドスンと、ステンレスの坂道を流れてくる。
作業員が片足を縛り、機械で上に吊るされていく。
動物というのは、逆さまにしておくと死んでしまうものなのか?
よくわからないが、次の映像ではもう、ブタたちは死んでいた。
大きなチェーンソーの機械で、逆さまのブタのお腹を切っていく。
ドロッ、と内臓がでてきて、逆さまのブタの顎のあたりに、のしかかる。
次々とやってくるブタたちの、お腹がどんどん、切られていく。
人間の手作業で内臓をガバガバと掻きだして、中を水でザブザブ洗う。
椅子に座った作業員が、ベルトコンベアーで流れてくる、逆さまのブタの手を、ハサミで一つ一つ、ジョキン、ジョキン、と切っていく。
扉が開き、不思議そうな顔をした牛が入ってくる。
体がすっぽりと入るくらいの小部屋、首から上くらいだけ、小窓のようになっていてキョロキョロする牛の顔が愛らしい。
小窓があると、そこから外を覗いてみたくなるらしい。
顔を出すと、作業員が待ち構えていて、手に持った電気ショックのようなものを頭にかざす。
恐れおののき暴れる牛。
先ほどまでの愛くるしい表情とは一変し、目は血走り、顔全体に恐怖が張り付き、ぶるぶると大きく震えて、狭く拘束されているスペースの中でバタバタと暴れて逃げようとする。
だが、逃げ場はない。
頭に電気ショックのようなものを当てられ、一瞬にして崩れ落ちる。
口と鼻のあたりが、ピクピク、パクパク、して気を失っている。
機械でドサリと押し出され、ぐったりする牛の足を縛りつけ、逆さまに吊るされていく。
機械でお腹を裂き、滝のような血液や体液が、ドドドッ、と流れ落ちてくる。
ほんのさっきまで、きちんと機能していた、温かい液体だ。
皮を剥がれて、体をパーツごとに切り刻まれていく。
私たち人間は、こんなふうに大量殺戮する権利が、あるのだろうか。
働いている方たちの、心のケアが心配になった。