東京と山梨で暮らしていると、
都会と田舎の、人間のコミュニケーションのとりかたが違うのがわかります。
やっぱり、東京だと、皆さん、サラッ、としているよなぁ、と感じていました。
逆に、田舎だと、面倒くさくなるくらい、世話を焼かれたりするのですが(笑)
そんな、クールな首都東京のど真ん中で、心がほっこり、顔が微笑む行動を見ました。
****
東京メトロの西早稲田の駅にて。
電車から降りて改札を出る前にお手洗いに立ち寄りました。
そこでは、清掃員の女性の方がお掃除をしていて、床をモップかけしていました。
わたしは、申し訳ない・・・と思いつつ、そのわきを通り個室に入りました。
用を済ませて個室を出て、洗面所に行くと、今度は清掃員さんは洗面所の下をモップかけしていました。
ひとりの60代くらいの女性が、洗面台で手を洗っていました。
モップかけしていた清掃員の方が「あ、すみません」とその女性に言うと
「いえいえ〜、いいのよぉ。いつもお掃除ありがとうございますぅ。ここのお手洗いはどこよりも綺麗よぉ〜。」
と、手を洗っていた女性が声をかけました。
わぁ、清掃員のかたは、きっと、とっても嬉しいだろうな。
そんなこと、言ってくれないもんね、普通。
せっせと、人の嫌がることをしているというのに、誰からも感謝されないもんね。
感謝の言葉、嬉しかっただろうなぁ。
わたしも、恥ずかしがらずに、その女性のようにどんどん、言えるようになろう。
*****
広尾駅の改札を出て、地下道を通り、地上に向かう階段を登っていました。
荷物が重かったので、前かがみになって、足元を見ながら、えっさほいさ、登っていました。
目の前には、髪の長い、おしゃれな女性の後ろ姿。
階段を登りきるところで、地上には、小さな子供連れのお母さんがいて、子供の手を引いていました。
その傍らにはベビーカー。
すると、わたしの目の前で階段を登っていた女性が
「大丈夫ですか?手伝いましょうか?」
と、その若いママさんに声をかけていました。
わあ、素敵だなぁ、と思いました。
きっと、このかたも、子育てしていた時に苦労されたんだろうなぁ。
パリッ、と決めたスタイリッシュな女性の方で、サングラスを頭に乗せていて、一見、冷たそうに見えたので意外でした。
東京の「人情」も、素晴らしいよなぁ。
*****
小田急線のとある駅で下車しました。
道を歩いて目的地へと向かっていると、道路の向こう側の歩道を、大きな鉢植えを持って歩いてくるおじさまがいました。
なんの花だろう? 遠くてよく見えなかったけれど、ピンク色で、とってもきれいでした。
歩道の上をこちらに向かって歩いてくるそのおじさまは、向かいから歩いてくるおじいちゃんとすれ違うところでした。
歩道が狭いので、二人はすれ違うことができず、おじいちゃんのほうが車道に下りて二人はすれ違いました。
そのときに、
「これは、何の花?」と、おじいちゃんが、そのおじさまに聞きました。
「これは・・・・・ですよ。」(聞き取れなかった)とおじさま。
「へぇ、綺麗だね〜、いい花だね〜」
「そうですね。」
二人は、歩道と車道に立ち止り、そんな小さな会話をして、何事もなかったようにすれ違いました。
ああ、こんな小さなコミュニケーションでも、人間って大事だよなぁ。
きっと、花を抱えたおじさまは、気持ちがよかっただろうなぁ。
おじさまはお花屋さんかな?
ふたりはきっと、知り合いではないんだろうな。
*****
わたしのマンションは25世帯が住んでいますが、ほとんど顔を合わせません。
両隣に住んでいる方の顔も見たことがありません。
ときどき、声は聞こえるんですけどね。
タオルを持って引越しのご挨拶に行った時も、不在だったので、粗品だけドアノブにかけておいたので、実際にはお会いできませんでした。
東京に住み始めて、13年が経ちますが、考えてみれば、隣の人と交流した記憶がまったくありません。
むしろ、当時は女性の一人暮らしだったから、過度に警戒してしまって、避けていたかな。
そんな、
人間同士のコミュニケーションが薄いと思っていた東京で、素敵な人情をみさせてもらいました。
「ひと」って、素敵ですよね。