2021年08月28日

海の風と繊細さへの抱擁(エッセイ)

《海の風と繊細さへの抱擁(エッセイ)》

シェアリングすることで、ハートで繋がる、本当に愛が開かれる時間だった。



大きく開けた窓から、連なる山々と広々とした海が見える。

海からの風が心地良いこのベッドルームを、大切なことをシェアするために指定したのは彼だった。

彼は、一週間のシャーマニックヒーリングのワークショップが終わり、

感動さめやらぬまま私と合流して、私たちはこの海沿いの崖の斜面にある集落へとやってきた。

ともに時間を過ごしていて、彼の真っ直ぐな眼差しから、そして、深みのある一言一言から、

ワークショップのセレモニーの中で、大きな癒しがあったのだな、と私は感じていた。

そのプロセスを私にシェアしたい、と彼が言ってから、実際に話しをするまでに、丸々4日間かかったのは、

本当に彼の人生にとって重要な癒しが起こって、それがとても大切であり、

きちんとしっかりと聞いてもらうことが必要だったからこそ、

彼の繊細さと恐れにとって、4日間という準備期間が必要だったのだと、私は理解していた。

だから、

私のほうから聞き出そうとはせず、共に時間を過ごしながら、

彼の様子やエネルギーから、セレモニーでの恩恵を察しつつ、

彼がシェアリングする準備ができるのを静かに待っていた。



テラスに座って朝食を摂っていたとき、彼は「I think I am ready to share now. シェアする準備ができたと思う」と言った。

私は「That is good. I am also ready.うん、いいよ、どうぞ」と彼を促したけれど、

テラスでは、feeling safe 安心して安全な気持ちで話ができないから、ベッドルームに行こう、と彼は言った。

そう。安心して安全で守られた気持ちを持つことが、ハートを開くのには一番大事。

私たちはそれを知っているから、お互い感じる「安心と安全」をいつでも、尊重するようにしている。

「安心と安全」は人それぞれ違うのを私たちは知っているから、

自分の枠に相手をはめようとせず、お互いの繊細さを尊重している。

余談だけれど、

彼と初めて出会ったヒマラヤの上で、彼から一番最初に受けた印象は

「私を変えようとせずに、私の安心と安全を尊重してくれる」

という、これまでの男性からはあまり感じられなかった大きな受容に(大抵の男性はアドバイスしたり、従わせようとしたりする)、

私はあの時、驚きにも似た深い感動を覚えた。



ベッドルームの窓からの爽やかな光を感じながら、しばらく私たちはたっぷりの愛を込めてハグをした後、

向かい合わせにベッドの上に座った。

彼はノートを手に持ち(私たちは重要なプロセスやキーワードをノートに書き留めることを日常的にしている)、

私は温かいほうじ茶の入ったマグカップを手に持っていた。

明るい窓からイタリアのカラフルな海風が心地よく流れてきて、繊細さを理解し合う私たち二人を祝福した。



一週間のワークショップの中でのセレモニーで起こった、彼のヒーリングプロセスは、とてもとても深いものだった。

彼のカルマと家系のカルマだけではなく、戦争のトラウマが絡んでいた。

私は、「聞く力」を使って、心から愛を持って聞いた。

彼は2時間以上、躊躇ったり、思い出したり、目を閉じたり、目を潤ませたりしながら話し続け、

私は、私の持つリスニングの技術の恩恵に感謝しながら、話すことで、彼の大事なプロセスが統合していくように、「聞く力」で聞いていた。

魂のご縁の深い彼の癒しのプロセスは、私自身の魂にも共鳴して、

私の気づきにも繋がり、私自身の癒しも起こった。

彼の人生を聞かせてもらったことで、彼のことをより深く理解し、

彼が私にしているであろう彼のトラウマからのプロジェクションが理解できたので、

それは私に向けてではなく、過去のトラウマの投影を見ているだけなのだ、ということが理解でき、

私の中で大きな許しと受容が生まれた。

すると、さらに愛への信頼が深まった。

それは、「理解し合うこと」で生まれる、恩恵だと感じた。

人間と人間の間でしか経験できないこの素敵な経験をさせてもらえる、

彼との繋がりに、心から感謝が湧き上がった。



大抵の人間関係の歪みや亀裂は、誤解から生まれると私は感じている。

誤解をしてることに気づかずにいたり、誤解されたままで悲しかったり、
理解してもらえないと感じたり、
理解できないと拒絶したり、

そういった、自分のフィルターで見たものを真実と思いこんでしまって、歩み寄ろう、理解し合おう、としないとき、人間関係から愛を学ぶことが難しくなってしまう。

だから、きちんと話し合うことがとても重要なのだけれど(日本文化ではいつも難しく感じるし、文字での交流だけでも難しい)、

話すためには、安心して安全な気持ちで話せる心の状態が必要で(否定、ジャッジ、アドバイスされる恐れ無しで)、

そのためには、聞く人が「聞く力」を持つことがとても大事だと思う。

そして「聞く力」を持つことは、「真実を話す信頼」を培うと私は感じるし、

人間は「思い込み」で物事を見る、ということを理解していれば、自分自身の「思い込み」にも気づきやすく、

そうすると、真実だけを信頼して話をすること・聞くこと、の意味がわかってくる。

近いうちに、準備が整ったら「聞く力」のワークショップをしようと考えている。

本当に、役に立つ技術で、私の人生の人間関係をより豊かにしてくれるものだから、響くかたがたにシェアしたい。



シェアリングの後、

私たちは心を込めて長いハグをして、そして一緒にランチを作って、テラスに座った。

この民泊宿の周りを住処にしている二匹の野良猫(トラ猫と黒猫)が、いつものようにやってきて、可愛い声でニャア、と食べ物をねだる。(命名ススとキキ)

私たち2人のランチと、猫二匹のランチが終わると、

ススとキキは、足元にゆったりと寛いで、

それを見ている私もとても寛いだ気持ちになって、

猫たちの「安心して安全な気持ち」の、あまりの上手さに、私は感心した。

まだ繊細なハートでいる彼を察して、私は静けさと共に目線で彼を抱擁した。

私たち人間は、共鳴しあい、愛を送りあうことで、支え合って生きている。

崖の斜面に立つこの集落の、眼下にある教会から、美しい鐘が風に乗ってきた。

鐘の音は、近隣の村すべての人々に祝福を届けている。

時折、小さくなったり大きくなったりすることで、

そこに風があり、風の流れがあることが感じられる。

風は目には見えないけれど、

地球のすべての命を通り過ぎてきたこの風は、

私たちを撫で、触れて、愛撫し、またほかの命へと旅をして、

世界をひとつに繋げている。

愛は風に似ていると思う。

愛は風にように、目には見えないし掴むことはできないけれど、確実に存在して、私たち、そして世界をひとつに繋げている。

私の長い髪は風になびき、風が肌を撫で額に触れる感触を味わいながら、

私は目を閉じて、愛を受け取っていた。

そしてこの風が、私たちの愛も、世界に届けてくれますように、

と、願いながら。

私の命に、
すべての大切なご縁に、
響きあう魂たちひとつひとつに、
宇宙の無条件の愛に、
感謝が溢れている。



9月Movement Medicine オンライン・リサーチコース
「背骨・中心と繋がる/から開く」
http://yukismyogaism.seesaa.net/article/482976352.html

動画でリサーチコースへの思いを語ってます。
https://youtu.be/XllG_xWReLI




P_20210826_152900.jpg

《海の風と繊細さへの抱擁(エッセイ)》

シェアリングすることで、ハートで繋がる、本当に愛が開かれる時間だった。



大きく開けた窓から、連なる山々と広々とした海が見える。

海からの風が心地良いこのベッドルームを、大切なことをシェアするために指定したのは彼だった。

彼は、一週間のシャーマニックヒーリングのワークショップが終わり、

感動さめやらぬまま私と合流して、私たちはこの海沿いの崖の斜面にある集落へとやってきた。

ともに時間を過ごしていて、彼の真っ直ぐな眼差しから、そして、深みのある一言一言から、

ワークショップのセレモニーの中で、大きな癒しがあったのだな、と私は感じていた。

そのプロセスを私にシェアしたい、と彼が言ってから、実際に話しをするまでに、丸々4日間かかったのは、

本当に彼の人生にとって重要な癒しが起こって、それがとても大切であり、

きちんとしっかりと聞いてもらうことが必要だったからこそ、

彼の繊細さと恐れにとって、4日間という準備期間が必要だったのだと、私は理解していた。

だから、

私のほうから聞き出そうとはせず、共に時間を過ごしながら、

彼の様子やエネルギーから、セレモニーでの恩恵を察しつつ、

彼がシェアリングする準備ができるのを静かに待っていた。



テラスに座って朝食を摂っていたとき、彼は「I think I am ready to share now. シェアする準備ができたと思う」と言った。

私は「That is good. I am also ready.うん、いいよ、どうぞ」と彼を促したけれど、

テラスでは、feeling safe 安心して安全な気持ちで話ができないから、ベッドルームに行こう、と彼は言った。

そう。安心して安全で守られた気持ちを持つことが、ハートを開くのには一番大事。

私たちはそれを知っているから、お互い感じる「安心と安全」をいつでも、尊重するようにしている。

「安心と安全」は人それぞれ違うのを私たちは知っているから、

自分の枠に相手をはめようとせず、お互いの繊細さを尊重している。

余談だけれど、

彼と初めて出会ったヒマラヤの上で、彼から一番最初に受けた印象は

「私を変えようとせずに、私の安心と安全を尊重してくれる」

という、これまでの男性からはあまり感じられなかった大きな受容に(大抵の男性はアドバイスしたり、従わせようとしたりする)、

私はあの時、驚きにも似た深い感動を覚えた。



ベッドルームの窓からの爽やかな光を感じながら、しばらく私たちはたっぷりの愛を込めてハグをした後、

向かい合わせにベッドの上に座った。

彼はノートを手に持ち(私たちは重要なプロセスやキーワードをノートに書き留めることを日常的にしている)、

私は温かいほうじ茶の入ったマグカップを手に持っていた。

明るい窓からイタリアのカラフルな海風が心地よく流れてきて、繊細さを理解し合う私たち二人を祝福した。



一週間のワークショップの中でのセレモニーで起こった、彼のヒーリングプロセスは、とてもとても深いものだった。

彼のカルマと家系のカルマだけではなく、戦争のトラウマが絡んでいた。

私は、「聞く力」を使って、心から愛を持って聞いた。

彼は2時間以上、躊躇ったり、思い出したり、目を閉じたり、目を潤ませたりしながら話し続け、

私は、私の持つリスニングの技術の恩恵に感謝しながら、話すことで、彼の大事なプロセスが統合していくように、「聞く力」で聞いていた。

魂のご縁の深い彼の癒しのプロセスは、私自身の魂にも共鳴して、

私の気づきにも繋がり、私自身の癒しも起こった。

彼の人生を聞かせてもらったことで、彼のことをより深く理解し、

彼が私にしているであろう彼のトラウマからのプロジェクションが理解できたので、

それは私に向けてではなく、過去のトラウマの投影を見ているだけなのだ、ということが理解でき、

私の中で大きな許しと受容が生まれた。

すると、さらに愛への信頼が深まった。

それは、「理解し合うこと」で生まれる、恩恵だと感じた。

人間と人間の間でしか経験できないこの素敵な経験をさせてもらえる、

彼との繋がりに、心から感謝が湧き上がった。



大抵の人間関係の歪みや亀裂は、誤解から生まれると私は感じている。

誤解をしてることに気づかずにいたり、誤解されたままで悲しかったり、
理解してもらえないと感じたり、
理解できないと拒絶したり、

そういった、自分のフィルターで見たものを真実と思いこんでしまって、歩み寄ろう、理解し合おう、としないとき、人間関係から愛を学ぶことが難しくなってしまう。

だから、きちんと話し合うことがとても重要なのだけれど(日本文化ではいつも難しく感じるし、文字での交流だけでも難しい)、

話すためには、安心して安全な気持ちで話せる心の状態が必要で(否定、ジャッジ、アドバイスされる恐れ無しで)、

そのためには、聞く人が「聞く力」を持つことがとても大事だと思う。

そして「聞く力」を持つことは、「真実を話す信頼」を培うと私は感じるし、

人間は「思い込み」で物事を見る、ということを理解していれば、自分自身の「思い込み」にも気づきやすく、

そうすると、真実だけを信頼して話をすること・聞くこと、の意味がわかってくる。

近いうちに、準備が整ったら「聞く力」のワークショップをしようと考えている。

本当に、役に立つ技術で、私の人生の人間関係をより豊かにしてくれるものだから、響くかたがたにシェアしたい。



シェアリングの後、

私たちは心を込めて長いハグをして、そして一緒にランチを作って、テラスに座った。

この民泊宿の周りを住処にしている二匹の野良猫(トラ猫と黒猫)が、いつものようにやってきて、可愛い声でニャア、と食べ物をねだる。(命名ススとキキ)

私たち2人のランチと、猫二匹のランチが終わると、

ススとキキは、足元にゆったりと寛いで、

それを見ている私もとても寛いだ気持ちになって、

猫たちの「安心して安全な気持ち」の、あまりの上手さに、私は感心した。

まだ繊細なハートでいる彼を察して、私は静けさと共に目線で彼を抱擁した。

私たち人間は、共鳴しあい、愛を送りあうことで、支え合って生きている。

崖の斜面に立つこの集落の、眼下にある教会から、美しい鐘が風に乗ってきた。

鐘の音は、近隣の村すべての人々に祝福を届けている。

時折、小さくなったり大きくなったりすることで、

そこに風があり、風の流れがあることが感じられる。

風は目には見えないけれど、

地球のすべての命を通り過ぎてきたこの風は、

私たちを撫で、触れて、愛撫し、またほかの命へと旅をして、

世界をひとつに繋げている。

愛は風に似ていると思う。

愛は風にように、目には見えないし掴むことはできないけれど、確実に存在して、私たち、そして世界をひとつに繋げている。

私の長い髪は風になびき、風が肌を撫で額に触れる感触を味わいながら、

私は目を閉じて、愛を受け取っていた。

そしてこの風が、私たちの愛も、世界に届けてくれますように、

と、願いながら。

私の命に、
すべての大切なご縁に、
響きあう魂たちひとつひとつに、
宇宙の無条件の愛に、
感謝が溢れている。



9月Movement Medicine オンライン・リサーチコース
「背骨・中心と繋がる/から開く」
http://yukismyogaism.seesaa.net/article/482976352.html

動画でリサーチコースへの思いを語ってます。
https://youtu.be/XllG_xWReLI


posted by ユキ ラクシュミナラヤニ at 23:58| 詩的なもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする