2020年06月12日

(ぶらり旅)ドイツ南部Wörthsee


雷と激しい雨がやんだ。

窓の外を見ると、少し青空が見え始めている。

わたしはピアノのBGMを止めて、外に出るためジーンズに履き替えた。



ドイツ南部の小さな湖の畔にある、ワンルームのちっちゃな宿に泊まって、1週間の自分へのリトリート中。

今日は4日目。

数か月ぶりの一人旅だ・・・とはいえ、2月にはアマゾンに行ったのだったから、たった4か月ぶりか。

実のところ、旅人のわたしは、ひとつの場所に4か月間連続で滞在する、というのはとても稀で珍しい出来事なのだ。

自宅にはいつも必ず帰るけれど、でも、またすぐに旅立つ・・・という生活を、もう10年以上は続けているから、

今回のロックダウンで、4か月間もミュンヘンから離れられない(3件の旅の予定をキャンセルした)・・・という状況に、体が悲鳴をあげている。

今回の自分へのリトリートは、その療養である。



窓から、太陽の光が差し込んできたのを見て、私は、シャーマニックドラムとHAPIドラムを持って、湖畔へと向かった。

今日のサンセットとともに、自然への祝福を、ドラムと共に祈ろう。



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HAPIドラムを両足にセッティングして、いざ奏でようとしたら、背後で物音がした。

振り返ると、男性が座っていた。

今日、彼と、偶然会うのは3回目だ。

一回目は、午後、私が猫と話をしているときに彼はやってきて、挨拶をして通り過ぎた。

そして、さらに、午後、雨が降り始める前に、私の部屋の窓の外を通り過ぎ、わたしと目が合った。

一目見ただけで、共鳴を感じた。

ご近所の人なのだろうな。

素敵な波動だなぁ、と思った。

ドイツ人に、素敵だなぁ、と思うことって、実は滅多にない。



あれ?でも、おかしいな。

今、私が座っているこの湖の畔のプライベートボート乗り場は、私が借りている部屋のオーナーしか入れないプライベートな場所なのに。

彼は、なぜ、ここに入ってきて、私の後ろに座っているのだろう?

まあ、いいか。

共鳴する波動の彼には、私の祈りを見せても大丈夫だろう。



HAPIドラムを奏でた。

即興だから、その時々で、音も響きも違うのが面白い。

暮れ行く西の空に向けて、そして、反映する東の空に向けて、楽器の響きとともに地球への祝福を伝えた。

美しい。

ああ、ただ、美しい。



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突然、後ろからバババーー!と音がして、

鳥の群れが、背後から私の頭上を通り過ぎ、羽ばたきフォーメーションを組みながら水面に低空飛行していった。

鳥たちは、何の合図もなく、同時に同じ速度で、同じ方角に向き、同じ角度で曲がっていく。

なんて素晴らしいんだ、自然は・・・!

遠くに飛んで行く鳥たちを、慌てて一眼レフで撮った。



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そう、一眼レフ。

5年ぶりに手に取った、この私のかわいい子。

昔は、どこにでも連れて行った、このカメラ。

この子を買ったのは15年位前だろうか。

カメラを手に歩いていることで、なんてことのない日常が、とても特別でワクワクするものになる、魔法のレンズ。

この5年間は、手にすることがなかった。

また、カメラの趣味を始めようという気持ちになったこと・・・、自分によかったね、と祝福する。




ちらり・・・と、背後に座ってる彼を見ると、目を閉じて、ヨガ瞑想ポジションをとっている。

ああ、やっぱり。

瞑想を実践している人は、やっぱり、見るだけで共鳴するんだ。

自然界と繋がっている人、独特の波動。

話したこともないし、もう会わないかもしれないけれど、彼との出会いと、この美しい地球の芸術を共有していることに嬉しくなった。



シャーマニックドラムを手に取った。

瞑想している彼には、騒々しくしてしまって申し訳ないけれど、でも、私が先にここに座っていたしね。

そして、ここはプライベートエリアで「私だけの場所だよ」と借りているお部屋のオーナーさんから言われていたのに、入ってきたのは彼だしね。

と、自分に言い訳している真正直なわたし。



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スティックではなく、指と掌を使ってドラムをたたく。

そうすると、指の微妙な使い方で音のニュアンスが変わるから、叩いていて気持ちが入りやすく、とても好きだ。

シャーマニックドラムは、スピリットとの繋がりをアシストしてくれる。

わたしは、いくつかのリズムを繰り返し繰り返し、奏でた。

まるで、

心臓の音が、一定のリズムでビートを刻んでいるかのように、ドラムのリズムが、私という中心から周囲に波打っていく。

自然のスピリットとの交流。

至福の時。



本当に、美しい。

この素晴らしい地球の一部として、自然界の一員として、ここに命をもって存在することが、私は本当に光栄だと感じる。

太陽が沈み、夕焼けも消えかけたころになると、急激に寒くなった。

ドイツは、まだこの時期、上着無しでは少し寒いのだ。

ドラムを叩く手を止めたのは、セーター一枚だと寒くて、手がこわばってきたからだった。

振り返ると、彼はいつの間にかいなくなっていた。

気が付けば、わたしは、もう1時間半もここにいたらしい。


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なんて素敵なサンセットの時間だったのだろう。

わたしは地球から愛され、地球を心から愛し、スピリットといつでも繋がっている。

地球は、なんて美しいのだろう。

この地球に生きるすべての命は、なんと、美しいのだろう。

ああ、美しいわたしの地球(おうち)。



黒くなっていく空に向かって、「また明日ね」とつぶやいた。

うっすらと、星が輝き始めていた。


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posted by ユキ ラクシュミナラヤニ at 07:24| ぶらり途中下車(海外)2017年以降 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする