パートナーや、親しい友人と、ケンカするとき、
わたしは、関係性が深まるチャンスだと思うのです。
ただ、罵り合うだけのケンカや、「あんたのせいだ!」と「私が全部悪いのよ」を言い合って、相手のせいにするか、自分のせいにするか、のケンカは、関係性の進展の期待は難しいですが、
そうではなくて、
ふつふつと湧き上がってくる、自分の感じている怒りと悲しみにどっぷりと覆われてみて、みつめてみる、という選択をすると、
どこからこの怒りと悲しみはやってくるのか・・・・ということに、気づくでしょう。
それは、相手がこの「怒りと悲しみ」をわたしに与えているのではなくて、
明らかに、自分の中から「着火」して、ドカン!と爆発しているのが分かります。
だから、自分の中に火種があって、自動的に自分で着火しているのですね。
わたしは、パートナーととても頻繁に自分のプロセスについてシェアリングをしますが、
でも、やはり、ケンカをするときもあります。
お互いカウンセラーでセラピストでヒーラーですが、お互い人間ですから、完璧な神様ではありません。
ときには、激しくブチ切れます。
ここ最近のパートナーとのケンカでわたしが気づいたことは、
怒りの原因は、相手にわたしがしてしまっている、母と父の投影、または、昔の先生などへの投影がとても大きな部分を占めているということ。
両親から経験したフラストレーションや、怒り、悲しみ・・・それと同じような、または、ひょっとすると関連しているように見える状況になると、その、昔のフラストレーション、怒りと悲しみが沸き上がってくる。
それは、一見、目の前にいるその相手に対しての不満と怒りに見えるのですが、
なぜ、それを不満と怒りとして感じているのか・・・というルーツをたどると、結局は両親との関係性、インナーチャイルドにつながっています。
パートナーには、両親にしてほしかったことを無意識に求めています。
これは、無意識なので、止めようがないし、それが実は、人間の自然だと思います。
それが得られないと不満になり、相手のせいにしたりしがちです。
そして、両親にしてほしくなかったこと、に似ている状況になると、怒りや悲しみが発生します。
子供のころに、似たような類の状況を経験しているので、そのときの恐れや怒りや悲しみが刺激されるのですね。
だから、親しい関係性の中で起こるケンカから、自分自身の理解がより深まっていきます。
「なんでこの怒りはこんなに激しく燃えているんだろう?なにが元だったのか?」と、しっかりみつめること、
例えば、
「だってあの人がこう言ったから、こういう態度したから!」というのは、「原因」ではありません。
「なぜ、あの人がこう言ったら、私の中の怒りが燃えたのか?」に目を向けて、その先が「元」です。
なるほど、わたしの怒りはこんな引き金(トリガー)から着火するのか、と理解することで、
自分のインナーチャイルドは、「やっと気づいてくれたのね!」と、きちんと目を向けたことで癒されていきます。
たとえ、パートナーが、わたしの欲求を満たしてくれたとしても、
パートナーはわたしの両親ではありませんから、根本のところでの「不満」は消えません。
仮に、いま年老いた両親に相談して、子供のころにやってもらいたかった不満を満たしてほしいと言ったところで、
両親はあのころの両親とは変わっていますし、自分ももう子供ではないので、その当時に不満だったことは、満たされることはないのです。
では、どうしたらいいのか、このインナーチャイルドの怒りと悲しみは?
やみくもに、相手や誰かに怒りをぶつけても、結局、自分の問題で怒りが発生しているのに、相手を傷つけて、そして、自分も深く傷つきます。
わたしにとっては、
自分自身でそれをみつめて、よき理解者になって、もう怒りや悲しみは必要ないのだ、と、不満を抱えている自分にちゃんと教えてあげることが、一番、平和的で効果的だと感じます。
パートナーはそれを「鏡」となって見せてくれて、その機会を与えてくれる、大先生ですね。ありがたい。
わたしも、パートナーにとっての「鏡」ですから、お互いが支え合って、学び合っているのですね。
パートナーとのケンカの中では、
相手も両親の投影をわたしにしていますから、それを理解した目線で相手の言い分をきちんと聞いてみると、
相手には相手のインナーチャイルドの怒りや悲しみ、恐れがあるのだ、
その反映を相手は見ているだけなのだ、私に対しての怒りではなく、投影に対しての怒りが現れているのだ、
という「理解しよう」というポジションで接することができます。
「ちょっとやめてよ!投影しないでよ!」とは思わないようにします。
自分も確実に、相手に投影していますからお互い様ですし、
すべての人間関係は、どんな類の関係性であれ、つねに投影しあっているからこそ、学び合って、響きあっているのです。
やめてよ!は通用しない、というか、不可能です。
そして、
わたしが自分の過去の恐れ・怒りの投影から発した怒りの言葉や行動がもととなって、相手の怒りと悲しみも刺激し、
そして、それを相手から聞き、感じることで、どれだけ自分が相手に、「過去の恐れ」を投影して、それが相手を傷つけていたのかがわかるでしょう。
相手を傷つけても、自分の傷は癒えることはないから、
パートナーシップでは、相手という「鏡」を通して見える、「わたしの傷」をしっかりみつめて、理解していくこと、
そして、それを、きちんとシェアしあうことが、より良い、人間としての学びの関係性の持続につながると思います。
そのようにして、パートナーを「私自身の理解を深めるための影なる協力者」という立場に置いて接してみると、
ケンカを通して、とても学びが大きく(ケンカしている渦中は怒りと悲しみでとても痛いですけれどね)、
よりお互いの理解も深まり、きちんとまとまると、関係性は深まっていきます。
とても上級なテクニックですが、これも、「わたし」を「自分の中心」として物事をみてみる、ということです。
相手のせいでこうなった!・・・ではなくて、自分に起こった出来事のすべてを、「自分の中心」に立ってみてみる。(自分のせい、でもないですよ)
そうすると、「被害者意識」にならずにすむので、自分で自分を傷つけずに済みます。
わたしが実践していることのひとつは、
怒鳴り合ってヒートアップしてしまったときは(そういうときもありますよね。時には暴れるのも必要ですよね。)その後、少し離れて、お互いの時間を作ってみる。
一日、とか、数日とか、離れて、冷静に自分の怒りをみつめられる時間を作る。
そのときに、「実家に帰ります」は、絶対にしない。わたしの場合。
誰か周りに「味方」を置いて、自分を正当化して「あいつが悪いのよ!」とならないためにも(実家にいると、とてもそうなりやすい)、
一人になる時間を持って、きちんと「わたし」と二人っきりになる。
街に出てもいいし、自然に行ってもいいし、周りに人間がいる場所でもいいのだけれど、
「味方」となって「あなたは正しい」と言って慰めてくれる人を周りに置かないようにする。
すると、それにあおられて「誰かの(相手の)せいにする」が始まってしまって、すると、自分をみつめるプロセスが進まない。
パートナーにも、一人になる時間を持ってもらって、お互いがお互いのそれぞれの存在を感じながら、
自分自身と二人っきりになって、自分をみつめる時間を持つようにする。
すると、冷静に観察できる状態に戻っていきます。
夫婦やカップルのパートナーシップは、お互いのインナーチャイルドの理解を深める「鏡」となる関係性です。
ときに、とても近い、きちんと本音を言えて、腹を割ってつきあえる友人関係でもそうなりえますね。
相手を責めてしまったり、相手に変わってもらいたいと願ったり、わたしたちはどうしても、簡単に「意識が外側」に向いてしまいますが、
結局は、すべて自分の内側の反映を、見させてもらっています。
パートナー・親友は大先生ですね。
とはいえ、
どうしても、この「鏡」はわたしにとって苦しすぎるし、幸せではない!と感じたら、離れたらいいですし、
この「鏡」から学び合うことは、一瞬、痛いこともあるけれど、なんて自己理解が深まるのだろう!素敵!と感じたら、気が済むまで一緒にいたらいい。
そして、学びがひと段落ついたな、もう新たな学びはこの関係性からは発生しないな、と感じたら、離れたらいい。
しかしながら、自分のインナーチャイルドは一生ともに生きていくものなので、理解し続け、お世話をし続ける関係性です。
だからといって、
両親に「なんであのときこうしてくれなかったの!」と、今更、怒りを感じるのは、方向が違います。
それは、「あんたのせいで!」と誰かのせいにしているのと同じです。
人のせいにするのはすごく便利なので、とても簡単にわたしたちは、誰かのせいにしようとしてしまいますが(無意識なので気づかないことが多いです)
自分の心と人生の幸せのために、建設的な手段としてみれば、それをいかにして学んでいくか、という方向に向けて行くことで、
自分で自分を救うことができます。
次の機会に、
両親のインナーチャイルドと、自分自身のインナーチャイルドについて、わたしが経験したことを書いてシェアしたいな、と思います。
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