ヒマラヤが眼前に見える、標高の高いとてものどかな田舎町にて。
見晴らしの良い場所で、絵を描いていました。
わたしは、旅先で、そのとき受け取っているものを表現するために、スケッチブックとクレヨンを持ち歩くことが多いです。
わたしが描くのは、目に見える風景ではなく、私の中で見えている、目に見えない感覚を、描画で表現します。
このときは、ネパールの仏舎利塔の地にて、感じたこと、受け取ったこと、見えたビジョンを描いていました。
道端に座って描いていると、通りすがりのネパール人たちが興味深そうにのぞき込んでいきます。
ローカルのネパール人は英語が喋れないので、現地の部族の言葉で話しかけてくるのですが、わたしはさっぱりわからないので、「わからない〜」とジェスチャーするのですが、それでも、気さくにたくさん話しかけてくれます。
日本人のわたしの頭では、言っていることがわからないのだから、話しかける必要がないと判断して、あっちにいってしまうのが普通なのですが、
こちらのとても気さくな人々は、何を言っているのか通じなくても、温かい態度でコミュニケーションをとろうとしてくれるんです。
ハートラングイッジですね。 ハートの言葉。
言葉は、いらないです。
子供たちも寄ってきます。
わたしの隣に数人、女子中学生が座って、わたしの描画を覗きこみながら話しかけてきました。
でも、彼女たちは英語がわからないから、わからなさすぎて、大爆笑の連続でした。
そうだ〜、と思いたって、スケッチブックの紙を使って、彼女たちに、折り鶴を作ってあげました。
「おお〜、ふふふ」と、楽し気に受け取りました。
「じゃあ、色を塗ろう〜」と、私のクレヨンで勝手に色塗りを始める少女たち。
素朴でかわいいなぁ。
「これは、ハッピーバードだよ。ハッピーになるよ」
と、私は彼女たちに言いました。
*************************
毎日、とても歩きます。
多分、3時間くらいは歩いています。
多いときは4〜5時間、歩いています。
テクテク歩いていると、少年がテケテケついてきました。
「ポストカード50ルピー!」と、私に買ってほしいみたい。
「いらないよ、必要ないよ」とわたし。 だって、一枚50ルピーなんて高いもの。普通は20くらい?
それでもしつこく「一枚だけ!ポストカード!」と、ついてくる少年。
ポストカードは買わないけれど、この少年と少し話したいな、と思ったので、いろいろ質問してみました。
「お母さんは?」 「いない」
「お父さんは?」 「いる」
「兄弟、姉妹は?」 「いない」
「学校は?」 「ない」
「どこに住んでいるの?」 「あっちのほう」
そんな調子。
でも、私が買わないとわかってからも、ずーーっと、私にテケテケついてきます。
愛がほしいんだね。
「あなたは一人?」と聞かれて、「そう、ひとり」と私が答えました。
「友達いないの?」 「うん、いない。でも、今は君と一緒だから君が友達だね」と言ったら、
それまで、眉間にしわを寄せて苦しそうな顔をしていた少年が、パアッ!と笑顔になりました。
そのすぐあとに、また、むっつりした顔に戻ってしまいましたが・・・。
きっと、ずっと、子供らしい楽しみや、嬉しいことがなく生きてきているんだろうな。
純粋に遊んで楽しむことを知らないんだろうな・・・・と、遊んでいる同年代の子供たちを恨めしそうにみつめる少年を見ながら思いました。
しばらく、一緒に歩いたあと、カバンの中のノートを一枚破いて、少年に折り鶴を作ってあげました。
「はい、プレゼント」と言って渡すと、「なんだこれ?」みたいな顔して、手にした折り鶴を見ていました。
「これは、ハッピーバードだよ。 幸せを君に運んでくれる鳥なの。 君は幸せになれるんだよ」
そう言うと、なんとなく通じたみたいで、むすっとしていた顔に、ニコニコ〜〜〜〜、とゆっくり笑顔が広がっていきました。
あ!その笑顔かわいい〜〜〜!と思って、カメラを向けたら、また緊張してしまって、むっすりした顔に戻ってしまいましたが・・・・・。
その直後に、ほかの観光客が向こうから歩いてきて、ポストカードを売るために彼はその観光客のほうに走っていきました。
生きていくって、人それぞれの生き方があるんだ。
みな、それぞれのカルマを持って生まれてくる。
彼は、彼の人生の中で、幸せになってほしい。
幸せになってね。
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女の子たちの素朴な独創性、道行く人の可憐な好奇心、未知の者に触れ、知らない自分を発見しかけている男の子。
ここに書かれた一瞬ごとが素敵なのは、yukiさんが、日本での暮らしの延長みたいに、遠くの人々と出会えているからだと思いました。
yukiさんが、日本にいる時から、
私たち1人1人がどれほど遠くに離れていて、同時に、どれほど近くに存在しあう事ができるか、という事に、まっすぐな信頼があるからだと思いました。
それに、ここに書かれた誰もが、
私であり、私が既に出会った誰かであり、これから出会う誰かでもある、そんな気もしました。(色々忘れてしまっているのだけれど、たぶん、本当は、そんな気がするのです。)
必要とされている事、誰かがやった方がいい事、誰かがやらなくてはいけない事。
そういう事を最初に実行できる人を、リーダーシップ、というのだと思います。重ねて、その事は、愛を通じて教わる事が、いちばん受け止めやすい気もします。
とりとめがないのだけれど、今日、そんな事を考えました。
yukiさんの柔らかなリーダーシップを、距離とは無関係の信頼と共に、
心から応援しています。
追記:
男の子、「嬉しくてたまらない!!!」
っていう顔をしていますね。
yukiさんは...。
写ってこそ、踊ってこそいないのだけれど、何かもうほとんど、
天の岩戸の前のアメノウズメって感じです。
お互いの思い出が、宝物になってゆきますね。
みんなが、幸せでありますように!
このブログを読んでとても暖かい気持ちになりました。
なんだか光の中にいるようなとても心地良い感じです。
ユキさんの優しさで包まれてるような…
ユキさんの声はブログでは聞こえませんが
眠たくなるような穏やかな気持ちでヨーガの時のような感覚になりました。
女の子の表情はとても平和を感じました。
そして男の子表情に思わず吹き出して笑ってしまいました。
嬉しいんだけど表現が上手くできないような表情。素直になれないような。
私も創造療法をする前はこんな顔だったかも。
あぁでも今でもこの彼の表情痛いほどわかるな〜と。
そしてこのブログを読んでから
小さいグラスでガラスが割れそうなのですが
最初はブルーの色で冷たくてだんだん水色になり透明になり最終的には橙色でほんわか暖かいイメージが浮かびます。
頭の中のイメージなのか自分が勝手にイメージしてるのかよくわからないのですが。
勝手に湧き出てくるような感じです。
何度も何度もです。
だけど幸せな気持ちになっていることは確かです。
これからもユキさんのブログ、写真楽しみにしています。
いろいろと大変だとは思いますが無事に日本に帰ってくることをこの日本から願っています。
コメントありがとうございます。
とても素敵な言葉で紡いでくださって、少し照れております(笑)
時間や距離や空間のない異次元では、一瞬にして、すべてを超えていきますね。
私が子供たちに接するときに感じることは、エッセンスとして、彼らの中に残していきたいということ。
私のことは忘れてしまっても、折り鶴は捨ててしまっても、後々の彼らの人生に残っていく歓びのエッセンスを、旅の先々で渡していきたい、と想っております。
コツコツ、楽しみながら。
見守ってくださってありがとうございます。
わぁ、美しいイマジネーションですね。
とても優しくて、ふわっと広がる感じ。美しい。
絵に描いて表現したくなります。
ありがとうございます。
日本から想ってくださって、本当にありがたいです。
私も幸せ!