自分のこれまでの人生のことについても、たまに、書いていきます。
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15歳のころ。
人生で、一番最初のわたしの、生きづらさを感じていた時期です。
中学3年生で転校をしました。
「ユキ、学校変わってもいい? 大丈夫?」
と、母に聞かれて、
「新しい学校、楽しそう。新しい自分になれそう」
と、答えました。
母は離婚したあと、新しい旦那さんと一緒に暮らしていて、そこにわたしも引き取られました。
本当は、転校なんてしたくなかったけれど、とにかく、やっと、母と暮らすことができて、ずっと一緒にいたかったので、強がりを言いました。
わたしは、「ごく自然に見えるように強がりを言う」という技術を、思春期の頃から、身につけていました。
新しい学校に通い始めて、わたしは、どんどん、自分を見失って行きました。
家出もしたし、たくさんの悪いことばかりをして、母を泣かせました。
母を困らせるのは嫌なのだけれど、でも、困らせることばかりをしてしまって、どうしたらいいのか、わかりませんでした。
生きているのが、苦しくて、なんのために生きるのか、わからなくなっていました。
食べることに興味が無くなり、2週間で10キロくらい体重が落ち、体力も落ち、
立ちあがることができなくなったときは「やばい、死ぬかもしれない」と、やっと気付いて、立ちあがれないので、這って台所まで行き、冷蔵庫をやっとの思いで開けて、這っていても手が届くものを取って、無理矢理、食べたことを思い出します。
母も、義父も、朝から深夜まで仕事をしていましたので、わたしは大抵、ひとりでアパートにいました。
学校に行く意味もわからず、いつも、朝、登校に家を出るのですが、母が仕事に出かけたあとに、こっそり、家に戻ってひきこもっていることもありました。
ある日の冬。
学校の授業が終わって、帰宅をしようとしましたら、雪が降っていました。
結構、大きな雪が降っていて、これは、積りそうだな、というほど。
傘を持っていなかった私は、そのまま歩きだし、雪に降られながら歩きました。
その頃は、「もう、どうにでもなれ」という気持ちで生きていましたから、雪に降られるくらいどうということでもないです。
制服が乾かなかったら、明日は学校に行かなければいいや。 と思っていたくらい。
わたしは、別段、急ぐわけでもなく、ゆっくりと、下を向いて、雪が降り始めたアスファルトを見つめながら歩いていました。
頭の上や、両肩には、雪が降り積もっていましたが、気にしませんでした。
突然、メガネをかけた天然パーマの男子が、私の前に立ちました。
男子は、いま自分がさしている傘をわたしに、「はい」と差し出しています。
「女の子が雪に降られたら、だめだよ」
男子は、わたしに傘を押しつけて、
「僕は、同じ中学の2年○組だから、傘は明日返してくれればいいから」
そういって、スタスタ、私を追い抜いて歩いて行ってしまいました。
生きる気力を失っているわたしは、驚きで何も声が出ず、しばらく、ぼんやりと立ち止って、渡されるがままに傘をさしていましたが、
少しずつ、その男子の思いやりが嬉しくて、傘を大事に両手で持って、ゆっくりと歩きました。
こんな私にも、優しくしてくれる人がいるんだ、わたしは生きていてもいいんだ・・・・・、そんな温かい気持ちが少しずつ心に沁みてきて、それを味わいながら、足元の、中学用シューズを見つめながら、雪道を歩きました。
翌日、
その男子の2年○組に行きました。
ひとりだと、はずかしかったので、友人を誘いました。
その友人というのが、あまり真面目な子ではなかったので、わたしはさんざん茶化されていて、
その男子に傘を返す時には、茶化されて恥ずかしかったので素直な自分でいられずに
「ありがとねー、きっと、いい男になるよー」
なんて、上級生っぽく、上から目線で言ってしまいました。
その男子は、微妙な顔をして、傘を受け取るとすぐに教室に入ってしまいました。
わたしは、素直になれなかった自分を激しく後悔しました。
どうして、「とてもありがたくて、感動したんです」って伝えられなかったんだろう。
一緒に、友達がいたから、強がって見せてしまったんだな、と思いました。
あのときの、男子は、名前も知らないけれど、なんて素敵な優しい子だったんだろう。
傷つけてしまったのかな、わたしがあんな言い方をしたから。
いまでも、遅くないかな。
お礼を言いたいな。
「あのときは、どうもありがとう。 子供すぎてきちんと伝えられなくてごめんね。 あなたの優しさに、わたしは生きていてもいいんだ、って思いました。 本当に、どうもありがとう」
少女のころの私を思い出すと、いまでも、胸が苦しくなる思い出が、たくさんです。
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