くねくねの峠道。
バックミラーにぶら下がっている、ビーズ細工のカラフルな鳥が
わたしが傾く方向と同じリズムで、忙しそうにくるくると方向転換をしている。
ふと・・・・・
一瞬だけ車窓から見えた景色がとても気になった。
通り過ぎた後も、そわそわは続き、
しばらく車は峠道を昇り進んだのだけれど、
やはり、どうしても気になって、少し開けたところでUターンをした。
カラフル鳥も、グルンと、大きく向きを変えた。
エンジンを切り、膝かけを剥いで車の外に出た。
ふわりと柔らかい足元の土の感触が、心地よく、とても優しかった。
バタン・・・と、車のドアを閉めた瞬間から、
そこは、山のチャンネルに パチン!と切り替わった。
広々とした大地と、空の、音にならない音。
山から下りてくる、空気の緩やかなうねり。
立ち並ぶ木々たちの、生きる呼吸。
そして、大地の気配。
このすべての木々と生命をはぐくむ、おお、地球よ。
なんと、素晴らしいのだろう。
サワサワサワ
ヤマザクラが、わたしに話しかけてくる。
うん、そうだね。わかるよ。
ホーホケキョ
ウグイスが、それに、加わる。
ふふふ、そうだね。ありがとう。
一歩一歩を、確かめながら歩いてみる。
まるで、初めて立ちあがった赤ん坊のように、
一歩の土の感触を感じ、確かめながら、地に足をつける。
柔らかい、優しい、暖かい。
ああ、生きているって、素晴らしい。
この地球は、なんて素晴らしいんだろう。
私だけに与えられた、この私の人生。
丸裸になって、喜びを踊り、大声で歌いたい気分。
ウグイスの声を背にし、
窓を全開にして、地球のすべてを感じながら、
また再び、車は峠道へと向かう。
窓から吹き込むまだ寒い初春の風は、
わたしとカラフル鳥への洗礼のようだ。
