戸隠。
奥社まで続く参道の入り口。

一歩足を踏み入れたところから、タイムトリップした。

ここを歩くだけで、病気の人は治ってしまいそうだ。

随神門。

古の人々の声、気配が、あちこちから感じられた。
参道。

木漏れ日が、やさしい。
まるで、なにもかもを知り尽くしたうえで、何も言わずに微笑む、
あたたかな祖母の微笑みのよう。

奥社。

丸石の上を、裸足で長いこと歩いていた。
右回りで、心の中でマントラを唱えながら。
深い、深い、宇宙だった。
九頭龍社。

龍は、いなかった。
ので、
社のまえで、喜びの舞を踊った。
ゲートが開き、わたしから光の柱が天を貫き、
巨大な龍が現れ、山全体を覆った。
戸隠。
日本の中の、お気に入りの場所になりました。
私の中で、日本のお気に入りの場所はここで、ふたつめ。
神仏とともに旅することの、至福をかみしめる。
(完)