「大いなる沈黙へ グランドシャルトルーズ修道院」
BGMもナレーションもなく、照明を使わず自然光で撮影されたドキュメンタリー。
限りなく美しく、限りなく善。
「主よ あなたはわたしを誘惑した。わたしは身を委ねた」
東京 神保町 岩波ホールにて8/22までロードショー。
下記、フライヤーより転載。
「大いなる沈黙へ」は構想から21年の歳月を費やして制作され、長らく日本公開が待たれていた異色のドキュメンタリーである。フランスアルプス山脈に建つグランド・シャルトルーズ修道院は、カトリック教会の中でも厳しい戒律で知られるカルトジオ会の男子修道院である。修道士たちは、毎日を祈りに捧げ、一生を清貧のうちに生きる。自給自足、藁のベッドとストーブのある小さな房で過ごし、小さなブリキの箱が唯一の持ち物だ。会話は日曜の昼食後、散歩の時間にだけ許され、俗世間から完全に隔絶された孤独の中、何世紀にもわたって変わらない決められた生活を送る−−−−−−これまで内部が明かされたことはなかった。
ドイツ人監督、フィリップ・グレーニングは1984年に撮影を申し込み、ひたすら返答を待つ。そして、16年後のある日、突然、扉が開かれた。彼は修道会との約束に従い、礼拝の聖歌のほかに音楽をつけず、ナレーションもつけず、照明も使わず、ただ一人カメラを携えて6ヶ月間を修道士とともに暮らした。なにも加えることなく、あるがままを移すことにより、自然光だけで撮影された美しい映像がより深く心に沁み入り、道なる時間、清澄な空気が心も体も包み込む。