ここにはまるで別な天体であるかのような透明な空間の広がりと
キラキラした時間の流れがある。
私はすでに直観しているのだが、それはこの旅行の結論として発見した、
というよりも、のっぴきならない実体として、体の幅全体で受け止めたもの。
私の予想しなかった、人間の生き方の肌理(キメ)。
現代生活のカレンダーによって画一化され、コマ切れにされた時間とその連続。
自然に対する畏怖と歓喜を失って、無感動に測られる空間。
このめまぐるしさはどうしたものだろう。
文明開化以来、西欧から入ってきて頭からすっぽりはめ込まれた近代、
その時計の針に一生懸命追いつこうとした後進国意識、
その焦りが身についてしまったのではないか、どうも本当の生き方ではない。
生命のリズムと時計の針との違和感。
というよりも、生命自体が画一化しているということだ。
ただ空しく一方的時間にのまれてしまっては、生きてる甲斐がない。
岡本太郎