「モモ」 ミヒャエル・エンデ著より
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「いいか、宇宙には、ある特別な瞬間というものが時々あるのだ」
と、マイスター・ホラは説明しました。
「それはね、あらゆる物体も生物も、はるか天空のかなたの星々に至るまで、
まったく一回きりしか起こり得ないようなやり方で、
たがいに働きあうような瞬間のことだ。
そういうときには、後にも先にもあり得ないような事態が起こることになるんだよ。
だが残念ながら、人間はたいていその瞬間を利用することを知らない。
だから星の時間は気づかれないままに過ぎ去ってしまうことが多いのだ。」