雪かきの手を休め、トントン、と腰を叩く。
いま、かきだした、雪をまじまじと見てみる。
雪の精も、わたしをまじまじと、見ている。
青白く、ほのかに発光している、ようにみえる。
とても、美しい。 青いんだね、雪って。
雪の精から見るわたしは、どんなふうに見えるのかな。

動作を止めると、思考も止まる。
さっきまで、頭でいろんなことを考えながら雪かきをしていたけれど、
ピタリと止まってみると、静けさの中に、地球の音がたくさん聞こえる。
頭にかぶった、ダウンジャケットのフードに、みるみる積っていく雪の音。
パタ、パタ、パサ・・・・・・・
雪の囁きだね。
目を閉じて聞いてみる。
天からのマントラのよう。
顔をあげて、天を見上げる。
あとからあとから、白い結晶が落ちてくる。
わたしの頬を、おでこを、冷たく濡らして行く。
雪のくちづけ。
天からのブレッシング。

足元の雪を手で一つまみ、すくってみる。
よくみると青白い雪の結晶が見える。 小さな小さな、芸術の塊。
パクリ、と、一口、食べてみる。
天の味。 広がる。
宇宙から来た、かき氷だ。

突然、バサリ、と脇にある松の木から、雪が落ちてきた。
重かったんだね。
ブルル、と松の木も身震いしたんだ。
いま、わたしは、この森をひとりじめ。
興味津々で、森の精霊たちも、わたしを見ているのだろう。
こんなに、雪が深いというのに、
これほど、空から雪が舞い落ちてきているというのに、
それでも、鳥たちは、チリンチリン、とまるで鈴が鳴るように、美しく鳴き、羽ばたいている。
森の動物たちは、どこにいるんだろう。
どこかで、みんなで温かく丸まっているのかな。寒いだろうな。
「うちにおいでよ!」と誘いたいくらいだ。

いつも静かな、天空の森は、さらに、静か。
「ここに残る」と自分で選択したとはいえ、大変なことだった。
「不安」というのは、こうやって誕生して成長して支配していくのか!・・・・・・
・・・・・という、一連の流れを、客観的に学んだ。 陸の孤島で。ひとりで。
三次元のわたしは、慌てているのだけれど、わたしの魂は、とても喜んでいる。
ため息をつきながらも、わたしは、ワクワクしていたりする。
こんなふうにして、白銀の天空の森で、ひとり、過ごしている。
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豪雪の翌日、2/9の朝の景色。
甲府はまだ、雲に覆われている。 朝8時頃。
それを、上空から見ている、わたし。 皆さん、どうぞご無事で。

そして、お昼くらい。
晴れた。

町は、真っ白です!

浄化されて、輝く世界。
