<聖地で見た夢2>
寝転んでいるわたしの体が異常に重かった。
腕を動かすことも難しかった。
お手洗いに行こうと起き上がりたいのだけれど、体が動かない。
寝返りも難しい。
とても苦労をして、とても時間をかけて、やっとの思い出、四つんばいになり、
トイレを探して部屋を這い出た。
トイレかな、と思って、ガラガラと引き戸をあけて、中に入ったら、
個室にはなっているけれど、なんだか、違う雰囲気。
3段ほど階段があって、下に下りている。
体が思うように動かないので、恐る恐る、したに降りていくと、
白衣を着た女性に「あなた!ここは私服での立ち入りは禁止ですよ!」と叱られた。
あ!そうなんだ!トイレじゃないのか!
間違いに気づいたわたしは、戻ろうとするのだけれど、体が思うように動かないので、カタツムリのよう。
「早く、出て行ってください!」
とても怖い顔の白衣の女性にまた叱られてしまった。
「体がうまくうごかないんだよ〜〜」と言いたいのだけれど、口も動かないから、伝えられない。もどかしい。
なんとか、入り口の3段の階段を這ってあがったところで、力尽きて倒れてしまった。
わたしが倒れている隣に、女性と男性の老人二人が運ばれて、わたしの脇に寝かせられた。
そうか、この部屋は、このかたたちに何かするお部屋だったのか、そりゃ、失礼。
そう思ったわたしは、なんとか、外に出ようとするのだけれど、なかなか、体が動かなくて、
入り口の引き戸を、ゆっくりと、時間をかけてあけた。
横たわっていた私は、引き戸の先に手を伸ばして、体をよじりながら這い出ようとした。
すると、隣に横たわっていた老人ふたりも、手を伸ばしてきて、なにか呻きながらついてこようとする。
ああ、この老人たちも、外に出たいんだな。
そして、わたしのこの体の重さは、不自由さは、体が不自由な方の体の感覚を、教えてくれているものなのかな。
近かった女性のほうの老人を抱きしめて
「おばあちゃん。外には出ないのよ。いま、看護婦さん来てくださるから、ここで待っていてね。ね。」
と、やさしく、耳元で語りかけた。
「はい。」
とても素直に、おばあちゃんは、元の場所に戻り、横たわって静かになった。
わたしは、とてもせつなくなった。
生きていくために、おばあちゃんは、強い願望をも譲って、従順になる。
もっと、抱きしめて、体中さすって、愛してあげたかった。
おばあちゃんが、「生きていること」を、認めてあげたかった。
白衣の女性が来て「早く、出てってください」と、横たわって身をよじっている私に言った。
なんとか廊下に出て引き戸を閉めたら、その女性が、窓から、すごい怖い顔でわたしをにらみ続けていた。
彼女も愛が、欲しいのだな、と思った。
あの女性も、仕事に追われて、愛が枯渇してしまったのかもしれない。
愛してあげたい、あの女性を、ねぎらって、やさしく抱きしめてあげたい。
本気でそう思った。
愛が必要なんだ。
みな、持っている光は同じ。
その根本の光は、本当に、美しい。
その光の周りを覆ってしまっているものを、
愛は、取り去るのかもしれない。
夢の中でしたが、体が思うように動かなくなって、はじめて、動けない方の苦労がわかった。
苦しんでいる方々の、お役に立てることをしたい!と思った。
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