2012年08月13日

「隣る人」 川崎市アートセンター


昨日、「隣る人」を観に行きました。

児童養護施設のドキュメンタリー映画です。

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ナレーションなどという演出は一切なく、そこでの実際の生活をありのまま撮影された映画。

本当に、本当に、本当に、本当に、

とっても、とっても、よかったです。

ほんとに、ほんとに、子供には母親が必要なのです。

子供には、なんの罪もないのです。

大人の勝手で、子供は、ただただ、混乱してしまう。

大人の勝手で混乱させられた子供に対して、「この子は私の手に負えない」と言って、施設に預けてしまう母親。

母親からの抱擁が必要だというのに、それが得られずに、さらに混乱していく子供。

でも、親も人間なので、完全ではないから、親になりきれず、心を病んで混乱していく。



人間って、せつないなぁ。

でも、そのせつなさを共有して、悩んだり、傷ついたり、傷つけられたり、追いかけたり、逃げたりして、

怒ったり、泣いたり、抱きしめたり、笑ったり、嫌いになったり、大好きになったりしながら、

一緒にご飯食べて、寝て、生活していきながら、親と子、ともに成長していく思うのです。



昨日は、上映の後に、監督の刀川さんと、舞台になった養護施設の館長さんが、舞台あいさつに来てくださっていました。

とっても素敵なお二人で、心の温かさが、にじみ出ているおかたでした。

監督がおっしゃっていた言葉。

「撮影した8年間で感じたこと。なんでもない、あたりまえの生活の中に、大切なことがすべて詰まっている、ということに気付きました。」

まったく、その通りだな、と思いました。

館長さんがこの映画のメインキャラクターとなった人々について説明するときに、グッ、と言葉を詰まらせて、涙をこらえていらっしゃいました。

本当に、利益とか、売り上げとか、そういったところを超えた、人間の奥深くにある柔らかいところからあふれ出るもので、お仕事されているのだな、と強く感じました。

わたしも、胸がいっぱいになりました。

その館長さんが、映画の中で、10歳の誕生日を迎えた少女に言います。

「むっちゃん、つらいことや、苦しいことは、なんであるのか、わかる? なんで、悲しいことがあるんだろう? それはね、これから大人になって、他の人のつらいことや、悲しいことや、苦しいことが、わかる人間になるためなんだよ。 今はつらいけれど、がんばるんだよ」

10歳の少女は、泣きそうになるのを必死でこらえて、無理やり笑顔を作っていました。

何度も言いますが、本当に、良い映画だった。 まだ、かみしています。

今これを書いていて、また、涙が出てきました。

チャンスがあれば、もう一回観たいです。



川崎市アートセンターでは8/17までの上映だそうですから、東京近郊の方は新百合ヶ丘のこのシアターにぜひ行ってみてください。

そのご、中野のほうでも上映されるそうですので、調べて、ぜひ行ってみてください。

山梨の皆さんにも、ぜひ見てもらいたいな、と思って、帰りがけに、自主上映会ができないかお聞きしましたら、

どこでも行きます、とお答えしてくださいました。

山梨にお呼びしようかしら?とちらり、と考えてみたりしてます。

私に、そんな大それたことができるかしら?

みなさんのご要望があるのかしら?



以下に、フライヤーに載っていた、著名人のお勧め文を載せますね。



「どんなムッチャンも好き。」保育士のマリコさんの言葉です。そう思ってくれる人が隣にいること。子供には、それだけでいい。けれど、「それだけ」が非常に困難になっているのは、今の日本、児童養護施設に限ったことではないように思います。
愛情とは、何か特別なことをしてやったり、まして期待したりすることではない。
なんでもない時間を共有し、ひたすら存在を受け止めること。子供とは、こんなにも愛情を必要としている生き物なんだと、せつなく、たじろぐほどでした。」  俵万智(歌人)



「ささやかだけれど情感豊かなこの映画は、
日常に暮らしの底で光を放つ『生命の真実』を、うるわしく切なく映し出している。
人が心の底から希求している本物の願い、祈り、夢。そして人を新に悲しませるものの姿。さらに、人がどんなつらさにも耐えて、なお生きゆくことがなぜ可能なのか。胸迫るその答えもここにある。愛おしい子供たち。愛おしい人々。
観ながら涙し、観終えて込み上げ、二度観てこれを書いている今も心が揺さぶられている。」 天童荒太(小説家)


posted by ユキ ラクシュミナラヤニ at 06:02| Comment(0) | TrackBack(0) | アート鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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