山梨に戻るときは、金曜の午前中の、東京の練馬区でのお仕事を終え、その足で電車に飛び乗って、どんぶらどんぶら、揺られます。
練馬区からだと、山梨の実家まで各駅停車で、4時間かかります。
毎週毎週、よくがんばってるなあ、と自分を誉めてあげます。
練馬区から地下鉄を乗り継いで、新宿にでて、また京王線に乗り換えて、高尾でJRに乗り換えます。
大都会から、一気に田舎へとタイムワープしてくる気分です。
新宿駅のGODIVAの脇を通りすぎたかと思えば、猿橋あたりの、緑の山々に一気にワープしてくるのです。
電車は山の中、トンネルの中をいくつも通過して山梨へと向かいます。
トンネルを超えるたびに、緑豊かになっていき、各駅停車でひとつひとつの駅で止まって、扉が開くたびにのどかな風景に変わっていき、気持ちも和やかになっていくのがわかります。
やっぱり、田舎はいいなあ。
甲府から乗り換えて身延線へ。
4人がけのボックス席に座りました。
目の前には小学生低学年の少女が、漢字のテストの答案用紙を見ていました。
大きな赤丸が何重にもついていたのですが、いくつか間違いにもチェックがありました。
彼女は、じっ・・・・・っと答案用紙を見つめた後、おもむろにバッグからノートと鉛筆を取り出しました。
左足を右足の上に組んで、左ももを机にして、少女はノートに漢字の練習をし始めました。
彼女の人生の中では、いま、この漢字を書きとることが大事件なのですね。
とっても上手に、きれいに、漢字の書きとりを練習していました。
答案用紙をチラチラ見ながら書き取る彼女。 書き順がめちゃめちゃで、教えてあげたい気分でした。
かわいいです。 とっても、かわいい。
ほのぼのします。
隣の4人がけのボックスシートには、中年の女性が一人座っていました。
身延線は、甲府駅で待ち合わせの時間が長いです。
わたしが中央線から乗り換えするときも、いつも、30分以上は待ちます。
電車はホームに止まっているので、電車の中の席に座って発車を待ちます。
隣のボックスシートに、小学校の高学年の少女が二人、座りました。
中年の女性は、優しい笑顔で小学生たちにほほ笑み、自分の荷物を引き寄せました。
「思いやり」の心が見えます。 母の優しさ、も見えます。
電車が発車する数分前に、おばあちゃんが乗ってきました。
おばあちゃんは、中年の女性と、小学生の少女二人が座る、隣のボックスシートに、「はい、すみませんね」と、腰掛けました。
皆さん、空気がなごやかです。
肘がちょっと当たっただけで、大きなため息をつかれてしまう、東京の山手線とは違うなぁ、と感じます。
おばあちゃんがバッグからゴソゴソとなにかを取り出そうとしています。
小さなきんちゃく袋から出てきたのは、キャンディでした。
女性は、なぜかキャンディを持っていますよね。 不思議です。
おばあちゃんは、「はい、どうぞ」と、同じボックスシートに座る、中年の女性と、二人の少女に、キャンディを一個ずつ渡していました。
ニコニコしながら、しわくちゃの手で、キャンディを手渡します。
もらった方々も、顔がほころびます。
ぼんわり、和やかな空気が流れました。
自然と、お天気の話や、小学校の話が、その4人の中から生まれてきます。
とっても、ほんわ〜り、温かいです。
人間って、こんなふうに自然に交流するのが本来の姿なんだよな、と思います。
ほんと、自然に4人の心がふんわり一つにまとまりました。
田舎ならでは。 東京では、感じられない「ほんわり」感かもしれません。
この雄大な山々に囲まれているからこそ、こんなふうにあったかい気持ちになれるのかもしれません。
大都会から一気にタイムワープしてきて、いつもいつも、この田舎の「ほんわり」に癒されます。
山梨、いつもいつもありがとう。
