突然、仕事がひとつキャンセルになったので、帰り道に気になっていた美術展に行きました。
新宿の損保ジャパン東郷青児美術館で開催されていました
「アンリ・ル・シダネル展 薔薇と光の画家」
モーリシャス出身の、フランスで活躍した画家です。 日本で初めての回顧展だそうです。
モーリシャスには友人がいますし、フランスの会社でお仕事をしていたり、親しい友人がいたり、今度行く予定があったり、フランスとは数年前からとてもご縁があります。
偶然ですが、意味のある偶然のような気がします。
今回の美術展も、下調べもなく、なぜだか無性に行ってみたくなって、そうしたら、行ける機会に恵まれました。
下調べなしの美術展は、あまり好きな分野でないこともあるのですが、このアンリ・ル・シダネルさんの作品は、わたしのハートのど真ん中を貫きました。
大好きです。彼の作品。とっても、好き。
彼は、「光」を追求した作品を描いていたのですが、その「光」が、太陽のような男性的な力強い光ではなく、月明かりや夕暮れ、朝もやのような、女性的で繊細な光なのです。
もう、本当に、本当に、美しいです。
そして、とても、やさしい。

わたしも、朝日の昇るときのあのグラデーションや、昼と夜の境目の海の底のような空気の色や、月明かりに照らされたいつもの風景の違う顔が、もう、たまらなく好きです。
彼は、わたしの目で見て感動する美しいものを、そのまま同じ感性で描いてくれた・・・・ような気にさえなります。
とても、美しくて、胸が震えました。
「食卓シリーズ」では、人間がいないのに、人間の温かさを感じさせ、風景の中でも、家の窓から漏れる温かい光から、家族の団欒の幸福感が伝わってきます。
なんて、奥深い絵画なのだろう。 素敵すぎます。

その中でも、胸がいっぱいになるほど、わたしの感性と共鳴する作品が何枚かあって、もう、うっとりと、長い時間、その絵と正面から向き合って、見つめあいました。
ほんと、うっとり・・・・・・。
なんて素敵なんだろう。
どうして、わたしが大好きなものを、この人は知っているんだろう。
繊細な色遣いと、素晴らしい表現力。
彼のやさしさと、愛にあふれた人格が表されているかのような、温かさを感じます。
主張しすぎない控えめな光を上手にとらえ、そこに意味のある深さを持たせている。
みつめれば、みつめるほど、語りかけてきてくれるかのような、「命」のある作品。
素晴らしかったです。
わたしの感性とぴったり寄り添いました。感激でした。
「癒しの画家」と言われるのが頷けます。
音声ガイドを借りて鑑賞したのですが、そのBGMに流れていたドビュッシーの「夢」も、彼の作品にぴったり合っていて素敵でした。
終了する7/1までに、もう一度来れたらいいな。