山梨にて。
ローカル電車の身延線に乗っていました。
この身延線は、通常2両・・・多くて3両編成の電車。
ぎゅうぎゅうの満員電車には絶対にない、平和な時間が流れます。
窓の外を流れていく、山々にも心が癒されます。
ローカル電車なので、山手線のように窓側にシートが伸びているタイプの座席配列ではなく、
二人ずつのシートが向い合せになる、4人ボックスシートです。
それに、出入り口付近に、二人掛けシートが横向きに設置されています。
わたしはいつも、4人掛けシートよりは、2人掛けシートを選択します。
東京から、山梨の家までの道のり、3時間30分です。
身延線に乗り換えるころは、すでに3時間以上電車に揺られた後です。
本を読むのも読み疲れて、はぁ〜〜、と顔を上げると、向かいの方も目を閉じて背もたれに寄りかかっていました。
70代後半くらいのおばあちゃん。
布製の黒いキルティングの小さめのリュックを両腕で胸に抱えて、目を閉じてまどろんでいます。
外は寒いので、暖かな電車の中にいると、自然に眠くなってしまいます。
ウトウトとしているおばあちゃんの腕に抱えている、そのリュックに目が止まりました。
まるで、睡眠に引っ張られているのに抵抗して、このリュックにしがみついていることで、かろうじて現実にとどまっているようでした。
おばあちゃんが抱きしめているリュックには、丸い大きめのカンバッジが、3つ、ついていました。
アンパンマンと、バイキンマンと、どらえもん。
うふふ。
その、漫画のカンバッジと、おばあちゃんのあどけない寝顔がとてもマッチしていて、わたしは微笑みました。
お孫さんからのプレゼントでしょうか。
何人、お孫さんいらっしゃるのかしら?
かわいいんだろうなぁ。
プレゼントされたアンパンマンのカンバッジを、バッグにつけて、いつも身につけ、大切にしているんですね。
とっても、嬉しかったんだろうなぁ。
本当に、微笑ましい。
あんまり、ニヤニヤしているのも、まわりに気持ち悪がられてしまうので、心の中でニッコリ微笑みました。
心が、あったかくなりました。