とある飲食店にて。
熱弁を振るう、若いロンゲの男性。
さっきから、ずーーーっと、
右手の2本の指のあいだに、タバコを挟んだままだ。
タバコは、箱から産まれたそのままの姿で、
熱を持たずに、ひんやりとしたまま、
青年の会話とともに、ブンブン振りまわされる。
さながら、ジェットコースターに乗ってる気分だろう。
ああ、
あのタバコ、前後が逆になって指に挟まっているのに、
あのロンゲのお兄ちゃんは、いつ気がつくのだろう。
ああ、
教えてあげたい。
そのまま火をつけたら、一本ムダにするよ、って。
ああ、
直してあげたい。
スタスタと近づいて、パパッ、とタバコをとりあげ、
クルッ、と逆にして、シュポ、とそのまま指に挟み込みたい。
ああ、
ロンゲのお兄ちゃん、
どうして、そうなっちゃったのさ。
早く気がつけばいいのに。
熱く語る、ロンゲのお兄ちゃんは、
シュボ、と指の間のタバコに火をつける。
フィルターに炎が近づき、葉っぱの部分からチュルチュルー、と吸い込む。
ああ、逆なのに。
口からタバコを離し、ふぅーーっ、と出るはずのない煙の幻影を吐き出し、
仲間の会話に熱〜い合いの手を入れる。
もう一口、チュルチュルー、とタバコを吸い込む。
ああ、やっとかよ。
ロンゲのお兄ちゃん、
逆さまのタバコに気がつき、
そいつを、ポイッ、と投げ捨てた。
それはもう、冷酷な態度で。
あああ、
予想通りの結末に、
嬉しいような、残念なような。
はい、何事もなかったかのように、新しい一本を箱から引き抜いていました(笑)
たくさん
笑えました(笑)?