車を駐車場に止め、ギギィ、とサイドブレーキをかける。
小さく息を吐き、肩の力がすっと抜けるのがわかる。
今日も、一日が終わった。
こんなふうに、忙しくお仕事させていただいていることが、本当にありがたい。
今日一日も、学び多き、大切な日だった。
右手でエンジンキーをひねり、両膝をそろえ、両手を膝の上に置く。
いざ、ドアを開ける前に少し身構える。
夜 22:15。
山梨の朝晩は、本当に寒い。
水道管が凍って、夕方まで水が出なかった・・・という話を聞いた。
愛車のキントウン号は、わたしの次の行動を、息をひそめて、じっと観察している。
よし!
助手席に置いてあるハンドバッグを手に取り、気合を入れる。
暖かな車中から、足を踏み出す、覚悟を決める。
ドアを右手で押し開け、するりと冷気の中に滑り出た。
寒い・・・・・。
車に乗るときは薄着なので、余計に寒さが堪える。
急いで、後部座席のドアをガチャリ、と開け、大量の荷物を、両肩にかけれるだけかけて、バタン、とドアを閉める。
個人教室用と、スポーツクラブ用と、養成講座用のバッグが、ぐいぐいと肩に重たく食い込む。
愛車のキントウン号は、おばあちゃんなので、ボタンでピッ!と鍵をロックすることができない。
重たい荷物が落ちないように体を傾けて、運転席のドアの鍵穴に、キーをさしのばす。
あれ?
とっても、明るい。
いつもなら、半分手さぐりで、ほぼ「勘」を頼りに鍵穴に差し込むのだが、今日は、とっても鍵穴が良く見える。
キントウン号の車体も、仄明るく、とても美しく見える。
はっ!
と気がついて、顔を上げる。
少しだけ、頬がこけたお月さまと、ピッタリ、目が合った。
彼女は、「ふふ、みつかっちゃったわね」と明るく微笑んでいるようだった。
ああ、もうすぐ、満月だ。
しばらくのあいだ、彼女と見つめあい、夜空の美しさに魅了される。
きれいだなぁ。 家々も、車も、わたしも、全部、青白く染められている。
彼女の輝きに、わたしも包まれている。
わたしが、毎日、毎日、忙しく活動しているうちにも、確実に時は流れ、こうやって月は知らずに満ちていくんだ。
わたしがどんなにあがいても、止めることのできないこの時間の「大河」の中で、私は流され、生かされているんだなぁ。
こうして、お仕事させていただいて、いろんな方と触れ合うことができて。
ありがたいなぁ。
なにげない家族の愛情にも、ふと、気がついて、胸が熱くなったりして。
ありがたいなぁ。
見上げれば、月のエネルギーに包まれている自分に、はっ!と気がついて。
本当にありがたいなぁ。
幸せは、みつけるものじゃなくて、「気づくこと」だと思う。
「気づいたこと」に、気づくことで、心がもっと、ふんわりと幸せになる。
しっとりと輝く、月の光を浴び。
合掌

お月さまって、やさしいですよね。
ずっと、月光を浴びていたいです。