2012年02月06日

月光



車を駐車場に止め、ギギィ、とサイドブレーキをかける。

小さく息を吐き、肩の力がすっと抜けるのがわかる。

今日も、一日が終わった。

こんなふうに、忙しくお仕事させていただいていることが、本当にありがたい。

今日一日も、学び多き、大切な日だった。

右手でエンジンキーをひねり、両膝をそろえ、両手を膝の上に置く。

いざ、ドアを開ける前に少し身構える。

夜 22:15。

山梨の朝晩は、本当に寒い。

水道管が凍って、夕方まで水が出なかった・・・という話を聞いた。

愛車のキントウン号は、わたしの次の行動を、息をひそめて、じっと観察している。

よし!

助手席に置いてあるハンドバッグを手に取り、気合を入れる。

暖かな車中から、足を踏み出す、覚悟を決める。

ドアを右手で押し開け、するりと冷気の中に滑り出た。

寒い・・・・・。

車に乗るときは薄着なので、余計に寒さが堪える。

急いで、後部座席のドアをガチャリ、と開け、大量の荷物を、両肩にかけれるだけかけて、バタン、とドアを閉める。

個人教室用と、スポーツクラブ用と、養成講座用のバッグが、ぐいぐいと肩に重たく食い込む。

愛車のキントウン号は、おばあちゃんなので、ボタンでピッ!と鍵をロックすることができない。

重たい荷物が落ちないように体を傾けて、運転席のドアの鍵穴に、キーをさしのばす。



あれ?

とっても、明るい。

いつもなら、半分手さぐりで、ほぼ「勘」を頼りに鍵穴に差し込むのだが、今日は、とっても鍵穴が良く見える。

キントウン号の車体も、仄明るく、とても美しく見える。

はっ!

と気がついて、顔を上げる。

少しだけ、頬がこけたお月さまと、ピッタリ、目が合った。

彼女は、「ふふ、みつかっちゃったわね」と明るく微笑んでいるようだった。

ああ、もうすぐ、満月だ。

しばらくのあいだ、彼女と見つめあい、夜空の美しさに魅了される。

きれいだなぁ。 家々も、車も、わたしも、全部、青白く染められている。

彼女の輝きに、わたしも包まれている。

わたしが、毎日、毎日、忙しく活動しているうちにも、確実に時は流れ、こうやって月は知らずに満ちていくんだ。

わたしがどんなにあがいても、止めることのできないこの時間の「大河」の中で、私は流され、生かされているんだなぁ。

こうして、お仕事させていただいて、いろんな方と触れ合うことができて。

ありがたいなぁ。

なにげない家族の愛情にも、ふと、気がついて、胸が熱くなったりして。

ありがたいなぁ。

見上げれば、月のエネルギーに包まれている自分に、はっ!と気がついて。

本当にありがたいなぁ。

幸せは、みつけるものじゃなくて、「気づくこと」だと思う。

「気づいたこと」に、気づくことで、心がもっと、ふんわりと幸せになる。

しっとりと輝く、月の光を浴び。

合掌

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posted by ユキ ラクシュミナラヤニ at 07:56| Comment(2) | TrackBack(0) | 詩的なもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私も最近明るいお月様が気になり、度々見上げますよ。いつも暖かく見守ってくれてますよね(^-^)優しい顔で今日も1日お疲れ様と言ってるように・・。
Posted by みっちょです at 2012年02月11日 22:22
みっちょさん

お月さまって、やさしいですよね。
ずっと、月光を浴びていたいです。
Posted by ユキ at 2012年02月12日 06:37
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