2011年07月28日

命の行進2



千葉から岩手まで、42日間かけて犠牲者慰霊行脚をしている僧侶の方々と、一緒に歩き、祈らせていただきました。二度目となります。

(一度目の記事はこちら→http://blogs.dion.ne.jp/yukism/archives/10245548.html

二週間前に参加させていただいたときは、目を疑うような光景の数々に、ただただ、ショックで声が出ず、涙ばかりが出てきました。

行脚から戻っても、しばらくは茫然とした気持ちで過ごし、毎日歩き、祈り続けている皆さんのことを想って、気を抜くと涙が知らずに流れている生活が続いていました。

それほど、あの壮絶なる破壊された光景と、真剣に祈り続ける皆さんの清らかな行いに、深く深く、感動をしました。

どうしても、もう一度参加させていただきたくて、なんとしても、祈りたくて、仕事の調整をして、再び、夜行バスに乗りました。

今回は、岩手の大船渡市の行脚に参加させていただくことになりました。

二回目の参加となりました、この行脚の経験で学ばせていただいたことは、「人間の美しさ」だったような気がします。

前回同様、気の向くまま指が進むまま、感じたことを綴ります。



出発の日は、山梨でヨガ療法講座のアシスタントのお仕事がありましたが、わけを話して早めに帰らせていただきました。ご迷惑をおかけした仲間のアシスタントのかた、すみませんでした。

一度、東京の家に戻り、荷物をまとめてまた出かけ、池袋駅から22:50発の、釜石行きの夜行バスに乗りました。

前日の夜は、来週、講師として行う教育セミナーの資料作りをしていましたので、3時間しか睡眠がとれず、さらには講座の雑用と講義の学び、慣れているとはいえ山梨から東京の自宅への長い電車移動で、めいっぱい働いてもらった私の肉体は、クタクタに疲れ果てていたのですが、古い型の岩手交通の夜行バスはとても居心地が悪く、ほとんど眠れませんでした。

フジテレビのカメラマンとリポーターがすぐ後ろの席で、なにやらボソボソと小声でリポートをしていました。

彼らは陸前高田で下車していきました。被災地リポートでしょうか。

リポーターはコメディアンの方かな? 太っていてジャージを着ていて、横長で少しつり上がった黒ふちの眼鏡をしていました。

わたしはテレビを見ないので、誰だかわかりません。

他の方がみんな寝てしまっても、カメラマンは、ずっと、窓の外を撮影し続けていました。

ごくろうさまです。



バスが岩手県大船渡市に到着したのが7時少し前でした。

もう、行脚の一行は、5時くらいにスタートしているそう。毎日、3時に起床しているそうです。

本当に、頭が下がります。

歩いているみなさんのところに車で追いつき、列の一番後ろにつくと、みなさんが振り返って

「おかえりなさい!!」と笑顔で合掌してくださいました。

心がふんわりと温かくなり、わたしも大きな笑顔でお返ししました。

前回も、そして今回も、たったの一日しか参加しないというのに、仲間に入れてくださって、本当に嬉しかったです。



歩いている国道沿いは、海と山を繰り返して、延々と続いて行きます。

きつい登り坂がやってきては、ゆるやかに下り、確実に一歩一歩、山を越えて行きます。

山側では、津波がなかったぶん被害が少なく、民家も無事にきちんと立っています。

汗だくになり、呼吸も荒くなりながら、急こう配の上り坂に挑みます。

長い長い上り坂のあまりのきつさに、太鼓をたたく手は止まり、祈りの声も小さくなっていきます。

前回、参加させていただいた時は、海沿いをずっと歩いて行きましたので、被害が大きい地区ばかりで、本当に、誰ひとりとして人間がいませんでした。

文字通り、廃墟と化した町ばかりでした。

今回は、被害が少ない山側も歩いて行きましたので、住んでいる方々とコミュニケーションをとることができました。

住民の方々は、祈りながら山の中を歩く、わたしたち16名の団体を見ると、とても驚いた表情をしてらっしゃいました。

ごあいさつすると「まあまあ、こんな暑い中ご苦労様です」と、労ってくださいます。

リーダーの僧侶の方が「この辺では亡くなった方はいますか?」「おばあちゃんのお宅は大丈夫でしたか?」と、ひとりひとりに慰問されていました。

恐ろしい災害の記憶に苛まれながら、毎日を逞しく、健気に生きる被災地のかたがたの姿に、人間の・・・・日本人の美しさを見ました。

これが、他の諸外国だったらどうでしょう。

日本人だからこそ、こんな未曾有の大災害に見舞われても、暴動も起こさず、自暴自棄にもならず、冷静に、まわりと助け合って乗り越えることができるのだと思います。

日本人の素晴らしさ、忍耐強さ、逞しい姿に感動を覚えます。



海沿いの小学校は、もうボロボロに朽ち果てていました。

ガラスはひとつ残らず割れ、建物の中は壁も床もはがれていました。

大きな敷地には校舎が数棟あり、立派な体育館もありましたが、本当に戦争の攻撃を受けた後のように、すべて破壊されていました。

まるで映画のワンシーンのように、まったく現実味がありません。

幸い、子供たちは無事逃げおおせて、この小学校では死者はほとんどいなかったようです。

よかった。 本当によかった。 この惨劇のような光景を見ると、奇跡としか思えません。

浜辺でお線香をたき、海に清めのお酒をまき、靴を脱ぎ、砂浜にひざまずいて、合掌をして霊を慰めます。

「この世での使命を終えたかたがた、お疲れさまでした。どうぞご無事に来世に向かってください」

振り返ると、さきほどの小学校の建物があります。

津波が襲ってきたときは、さぞ、怖かったでしょう。

子供たちは、どんな気持ちでいまを過ごしているのだろう。

先生たちは、そのとき、どんな気持ちで子供たちを守ったのだろう。

小学校の校舎の最上階の窓に、ゆらりと揺れる影をはっきりと見ました。

教室で、誰かが動いているような影でしたが、はっきりとは見えません。

誰かが、片付けでもしているのかしら? カーテンが風で揺れているのかしら?

それとも・・・・・・・?

海の潮風を受けて、ボロボロに傷ついたまま佇む、その小学校の校舎に向かって、両手を合わせ、合掌をしました。



平屋建ての老人ホームを訪れました。

38名ほどのお年寄りたちが流されてしまったそうです。

老人ホームは足の悪いお年寄りたちを配慮して、一階建てだったわけですが、せめて、二階があれば上の階に逃げようがあっただろうに・・・・。

お年寄りを助けようとした従業員の方々も、恐らく流されたのでしょう。

建物の中は、まるでまだ完成していない家のように、床板が全部はがれていました。

片づけた跡があり、たくさんのポリ袋に生活用品や、私物がまとめられていました。

壁には、子供たちが描いたかわいらしいおばあちゃんの絵が何枚か、津波に負けず、いまだ飾られていました。

心をこめて作った、色おり紙の「折り鶴」を、お線香と清めのお酒とともにお供えします。

怖かったでしょう。 本当に、苦しかったでしょう。

どうぞ、安らかに。



わたしの到着した前の日。

一行が海沿いを行脚しているとき。

湾になっていた浅瀬に、プカプカとなにかが浮いているのが見えたそうです。

なんだろうと・・・・?と、皆、目を凝らして見てみると・・・・・・

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ご遺体が浮かんでいたそうです。

うつぶせで、お尻だけがプカリと浮いていたそうです。

「昨日は、ショックで全然、眠れませんでした。」

ある僧侶の方が、声を沈めておっしゃいました。

ご遺体は、パンパンに膨れ上がって、最初は人形かと思ったほどだそう。

恐らく、海の中でガレキの下敷きになっていたのが、海底のうねりとともに浮上してきたのだろう・・・ということです。

きっと、陸に戻ってきたくて、あがってきたのでしょうね。

ちょうど、命の行進団が歩いているときに、あがってきたのも、偶然ではないのかもしれません。

再び地上に戻ることができたご遺体に、丁寧にお経をあげ、ご供養をしたそうです。

「ユキさんは、一日遅れで参加してよかったですね。ユキさんは感受性が豊かすぎるから、見ないほうがいいですよ。」

眠れぬ夜を過ごした皆さんに、私のできること・・・・エネルギーヒーリングで少しでも癒されていただけたら・・・・と皆さんの体に手をかざさせていただきました。

どうぞ、この経験が、皆様の未来にポジティブに働きかけますように。



今回の参加では、「人間の美しさ」を学ばせていただいたように感じます。

不謹慎な言い方かもしれませんが、この大災害があったことで、人と人とが強く繋がれていったのではないか・・・・と感じました。

少なくとも、私達、行脚の参加者は、初対面の方々が多かった中、しっかりと強く、心で結ばれたのを感じました。

それに加え、被災地のおじいちゃん、おばあちゃんたちの、逞しく働く姿をみて、胸が熱くなりました。

私達、行脚の一行に手を合わせお辞儀をしてくださる高齢者のかたたち。
被害にあわれているにもかかわらず、快く休憩する部屋を提供してくださる方々。
こんな若造のわたしに「ありがとうございます。支援者の皆さんのおかげです」と頭を下げてくださるおじさま。
痛む足を引きずりながら、急な坂道を弱音も吐かずに昇っていく仲間たち。
お互い、70代やら20代やら関係なく、腰や足をマッサージしあって、労をねぎらう仲間たち。
どんなに疲れていても、笑顔で明日の支度をする仲間たち。

人間って、素晴らしいな。 日本人って、本当に素晴らしい。

本当に、不謹慎な言い方だと思いますが、大災害のおかげで、わたしたち日本人の心がひとつになったのではないかと思います。

ただただ、おぞましい光景にショックだった前回に比べ、今回はとても前向きに、ポジティブに、強い心で受け入れることができたように感じます。

こうやって、ヒトは、強くなって乗り越えていくんだな・・・・と、自分の精神をもって感じました。

東京に戻る夜行バスの時間が近づくにつれ、仲間の皆さんと離れがたい気持ちが大きくなりました。

わたしも、最後までご一緒させていただきたい・・・、この、尊い志をもった皆さんと一緒に、最後まで祈りたいと、真剣に考えました。

個人事業主で働く私には、お仕事に対する大きな責任がありますので、結局は予定通り帰ってまいりましたが、心は一緒に連れて行ってもらいます。

被災地のかたがたの、逞しいお姿に、人間の生きる意味を教えていただきました。

そして、行脚される皆さんの笑顔に、神のような神々しさを見ました。

一ヶ月半かけて歩き続け、祈り続ける僧侶の方々とそれに賛同する一般の方々の、清らかで健気な心に胸をうたれました。

ヒーリングをさせていただいたかたに「ユキさんは人の役に立ちたい人なんですね。」と、陰りのないまっすぐな笑顔で、ストレートに言われた時の、まるで宝物を見つけた時のような心の感覚を、覚えています。

スッ・・・・と両足をきちんとそろえて立ち、背筋をまっすぐに伸ばして祈る、リーダーの僧侶の方の、黄色い擦り切れてつぎはぎだらけの衣の裾から見える、いさぎよく誠実な足首を、忘れることができません。

皆さんは、6月の下旬のあの暑い中、福島市役所前で、放射能の脅威にもひるまずに、3日間の断食を行い、市役所前に座り込み、飲まず食わずで祈り続けたそうです。

この行脚が終了する7月30日もまた、断食をして、最後のご祈念をされるそうです。

長かった行脚の旅も、あと数日。

どうか、あと少し、全員がご無事で終了し、命を削って歩いた、祈りが届きますように。

私達の愛する日本が、元気に回復しますように。

このような貴重な機会に恵まれたこと、素晴らしいご縁で出会ったみなさんに、心から感謝し、これからのわたしの糧として頑張っていきたいと思います。

わたしにできるちっぽけなことを、ひとつひとつ積み上げて、たとえ少しばかりだとしても、困っているかたの助けになれることを願います。

長々と、読んでくださってありがとうございました。

******


わたしにできるちっぽけなこと。

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命の行進.jpg
posted by ユキ ラクシュミナラヤニ at 04:41| Comment(3) | TrackBack(0) | 癒し〜ヒーリング〜 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お疲れ様でした。

この日記を読ませていただくだけで
涙が出ます。

先回のお祈り行脚で
そのままお帰りになって
ヨガの授業をなさった時の先生の
足の裏、見てしまいました。

肉刺が・・・

日焼けなさった肌より
多くを語ってるようでした。

どうかお元気で。

Posted by 松野 佳代子 at 2011年07月28日 18:32
2度の慰霊行脚へのご参加、お疲れさまでした。
その2回、とても大きな祈りの力として加わったと思いますよ。

ユキさん到着前日に海で見つかった方は、ご家族にとっては悲しい事ではありますが「見つかった」というのは救いになるのではないでしょうか。

ずっと海の中にお1人でいて、それが慰霊行脚なさっている方達によって発見されて、やっとご家族の元に帰る事ができる。

その出来事は、皆さんの祈りが通じて、大きな働きの思し召しによって、起きたのではないかと思いたいです。

行方が判らないで、気持ちに整理がつかずにいる方達がいらっしゃる中で、その方は幸いなのかもしれませんね。

発見された方はショックだったでしょうが、孤独な海の中から解放されたことに居合わせたのは、慰霊行脚のひとつの大きな意味だったのではないでしょうか。
Posted by Kinu at 2011年07月28日 23:03
松野さま
コメントありがとうございます。
いやいや・・・・わたしの足なんて、どうってことないんです!たったの一日ですから。ご心配、感謝いたします。
わたしより、行進団のみなさんの体が心配です。
長い記事を最後まで、ありがとうございます。

kinuさん
そうです。そのとおりです。まったく、同じことをみなさんおっしゃっていましたよ。
わたしの書きかたが足りなかったようです。眠い目をこすりながら・・・でしたので・・・。すみません。少し書き足しました。
kinuさんには、講座の後片付け、お世話になりました、ありがとうございました。
Posted by ユキ at 2011年07月28日 23:40
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