2011年07月23日

愛に飢える


東京の我が家の近くに、よくみかける猫ちゃんがいます。

コンビニの近くだったり、駅までの道の住宅街の塀のわきだったり、いつもひとりで丸くなって座っています。

わたしが通りかかると、いつも

「・・・・ミャア」

と、か細い声で、わたしを呼びとめます。

このニャンちゃん、毛並みは艶がなくボサボサで、顔はただれていて、目はくぼみ、どうやら病気のようなんです。

さみしそうに、力なく 「・・・・ミャ・・・」と鳴きます。

かわいらしい薄いピンクの首輪をしていますから、飼い猫なのだと思うのですが、それにしても、見るからにかわいそうです。

これまで何度も、さみしそうに、元気なく佇んでいる姿を見ていました。

先日の夜、わたしが通りかかると、また 「・・・・・ミャ、ミャ」と声なく鳴いてわたしを呼びました。

「あら、ニャンコちゃん、こんばんわ。どうしたの」

近寄っていくと、ニャンちゃんもこちらに寄ってきて、わたしの足にすり寄ってきます。

潤んだ目でわたしを見上げ、また、声にならない声を発します。

わたしはたまらず、しゃがみこんで彼女を愛撫しました。

汚れた背中を触ってみると、背骨がゴツゴツと飛び出るほどガリガリに痩せているのがわかりました。

足を引きずるようにして歩き、目の周りがガビガビにただれていて、本当にかわいそうな姿です。

首輪を見ると、ハート形のアクセサリーもついていて、なにか書いてあったようですが、古くなっていて読めません。

飼い猫だったのに、迷子になってしまったのかしら。

虐待されて、逃げてきたのかしら。

いずれにしても、「誰かに飼われている」感じはしないのです。

こんなにガリガリに痩せちゃって、お腹すいてるんだろうな・・・・・。

わたしは、近くのコンビニに行ってなにか買ってきてあげようと、立ち上がりました。

彼女はまるで「行かないで!」とすがるようにして、私を悲しげに見上げます。

「一人にしないで!行かないで!」と。

「ちょっと待っててね、すぐに戻ってくるからね。ご飯、買ってきてあげるからね」

その時一緒にいたかたに、彼女を預けて、すぐそこのコンビニに、なにか食べれるものはないか探しに行きました。

わたしがツナ缶を手に戻ってきたとき、彼女はとても嬉しそうに、わたしの足にスルリとからみつきました。

ただれた鼻先や目を、しゃがみ込む私の膝にスリスリとこすりつけます。

「さあ、ご飯たべてね」

ツナ缶を、シャコッ、と開けて、彼女の前に置いてあげたのですが、匂いは嗅ぐものの、食べてくれません。

またすぐにわたしの膝に戻り、甘えてきます。

「食べ物よりも、愛をちょうだい」・・・・そう言っているかのようでした。

こんなにガリガリになって、声が出ないほど弱っているというのに、目の前にある食べ物よりも、「愛」を渇望しているのです。

せつなくなりました。

生きるものは、動物でも人間でも、食べ物も必要ですが、もっと必要なものは「愛」なのだ、ということを感じました。

そうか、じゃあ、満足するまで撫でてあげるよ。

しばらく彼女の全身を撫でてあげ、彼女の人間への信頼が少し回復したころ、ツナ缶を近づけると、少しずつ食べてはじめてくれました。

でも、わたしが体を動かすと、また、「行っちゃうの!?」という不安に駆られ、私のほうにすり寄ってきます。

「大丈夫だよ、ここにいるからね。食べ終わるまでいるから、安心して食べてね。」

悲しげな彼女を安心させ、ツナ缶にうながします。

ああ、

わたしが、ちゃんとした生活・・・・東京と山梨のダブル生活じゃない・・・していたなら、こっそりマンションに連れ帰ってしまうのにな。

首輪がついていなければ、保護してどなたか飼い主を探してあげるのにな。

明日の朝、山梨に戻らなければならない私には、なすすべがありません。

わたしを、チラチラ見ながら、モソモソとちょっぴりずつ食事をする彼女を見ながら、せつない気持ちになります。

お別れのとき。

歩き去る私たちに、少しだけついてきた彼女に

「そこにいてね、来ちゃだめよ。明日の朝も来るから」

と言って、立ち去ります。

振り返ると、じっと止まって、こちらをみつめている彼女の視線にぶつかりました。

彼女を置いていってしまうことへの後ろめたさを感じながら、何度も振り返り、歩き去りました。

ひとりぼっちで、空腹で、さみしいだろうな。

私たち人間も、豊かで快適な暮らしを送っていても、彼女のように「愛を渇望」しているのかもしれないですね。

人間の場合は、その「愛への渇望」を、このニャンコのようにアピールできず、隠してしまうのですね。

ゆえに、表現できない押し殺した「渇望」が、いろいろな形で心身の症状として出てしまうのかもしれないですね。

しみじみと、ニャンコちゃんに教えてもらった、夜の道でした。

来週、東京に戻ったら、今度はネコ缶をあげよう。

半月.jpg



posted by ユキ ラクシュミナラヤニ at 07:53| Comment(2) | TrackBack(0) | 心あったかもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
先生も猫がお好きなのですね。
私もです。
家には♀猫が1匹居ます。

たまにお腹も空いてないのに
私の膝に乗って来て眠るのですよ。

先生が遭われた猫ちゃんも人恋しかったのでしょうね。

次回、遭われましたら猫缶をあげてください。
人間の食べる缶詰は味が濃くて猫にはよくないらしいです。

Posted by 松野 佳代子 at 2011年07月23日 18:47
松野さま
コメントありがとうございました!
そうなんです、ネコちゃん、好きです☆
というか、動物はなんでも好きですよ!
ツナ缶はネコに良くないのですね。そうでしたか、反省です!お腹は大丈夫だったかしら、あの子。
今度はちゃんとネコ缶にします!
Posted by ユキ at 2011年07月23日 22:23
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