これは、5年前に、他のサイトに書いたブログです。
懐かしいので、こちらにも載せてしまおう。
当時は、こういう風に文章を書いていたんだなー、あたし。
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2005年11月16日
夕方のJR。
もう、やんなっちゃうくらい、混んでました。
ホームに電車が到着し、電車のドアが開いても、あんなに、混んでたら、げんなりです。
乗りたくっても、乗れません。 でも、強引に乗ります。(笑)
背中から、よいしょっ、と、乗り込ん(押し込ん?)で、鼻先を、プシューー、とドアが閉まりました。
わたしは、ドアにへばりつくようにして、息でガラスが曇るのを、みつめていました。
隣に立ってた、同じく、ドアにへばりつき組のおじさま。
あんなに狭いのに、どうにかこうにか、うまく隙間を見つけて、片手で読書をしていました。
すごいな。
わたしは、手を下ろしたまま身動きができず、ずり落ちてくるニット帽を、持ち上げることもできないというのに。(笑)
電車は、するすると減速し、次の駅のホームに到着し、鼻先にあったドアが、ガバッ!と開きました。
冷気が、ふわぁーーっと、一気にやってきて、鼻の頭が、さぁーーーっと、急に冷たくなるのを感じました。
ドアが開き、目の前に立っていたのは、若いママと、ママに抱かれた小さな子供。
ママは、白いコートを着ていて、ショートカットの首筋が、とっても華奢で、上品な、清潔なかんじの、石鹸みたいないい匂いが漂ってきそうな、透明感のある、きれいなかたでした。
小さな子供は、くまさんみたいな、うさちゃんみたいな、ふたつ耳がついた、白いニットの帽子をかぶって、白いあったかそうなセーターをきた、かわいいかわいい、女の子でした。
鼻の頭と、ほっぺがピンク色で、思わず、カプ♪って食べちゃいたいくらい、かわいい女の子でした。
こんなに混んでるところに、子供を抱いて入るなんて、かわいそうだなぁ。と、同情しました。
ママは、女の子を胸に抱きかかえたまま、さっきわたしがやったみたいに、「すみません」、よいしょっ、と、背中から車両に乗り(押し?)込み、「よかったね、ちいちゃん。お外が見えるよー。」と、楽しげでした。
親子は、車両の中の、まわりの「イライラ空気」とは対称的な、「微笑み空気」も一緒に連れて来てくれました。
片手で、器用に読書をしていたおじさまは、明らかに嫌な顔をして、迷惑そうに、まるで、臭いものでも嗅いだときみたいな顔をして、じろっ、と親子を睨みつけました。
そのまま、眉間にシワを寄せたまま、大きな深ーいため息をひとつつき、本のページへと視線を戻しました。
女の子は、言葉を話せるようになって、間もないらしく、喋ることが楽しくて仕方がない・・・・という感じで、めちゃくちゃに、単語を並べ、めちゃくちゃに文章を作っていました。
ママにしか、理解不可能でしょう(笑)
読書おじさんは、眉間のシワをますます、深く濃くして、横目でちらちらと、牽制サインを出していました。
そんなもの、あのかわいいかわいい、純真な白いうさちゃんに感じ取れるわけもなく、女の子は相変わらず、楽しそうに、めちゃくちゃに、言葉を紡いでいました。
「埼京線は、いつも、混んでるねー、ちいちゃん。」
「さい・・・・・・?さい?」
「さいきょうせん。」
「さいちょー・・・・?」
「さいきょーせん。」
「さいとうさん?」
「あはは。違うよ、斉藤さんじゃないよ、ちいちゃん。埼京線だよ。」
「ちいちゃん、さいとうさん、知ってるぅーーーー♪♪」
「さいとうさんは、人の名前でしょー?これは、電車だよー。」
「さいとうさん、知ってるぅーーーー♪♪ちいちゃん、さいとうさん、すきぃーーー♪♪」
「うふふ。」
いやぁー、まいりました(笑)
わたしは終始、口元が緩みっぱなしで、「ちいちゃん」から、目が離せませんでした。
かわいいなぁ♪
こんな、激混みの、ぎゅうぎゅうの満員電車に、天使が降りてきたようでした。
天使たちの、『ストレス社会に、微笑を取り戻そうキャンペーン実施中』、なのかと思いました。(笑)
かわいいなぁ♪
こんな、かわいらしい会話を、こんなにすぐ、耳元で聞いたら、誰だって、とろとろに、とろけちゃいます♪
これには、あの、読書おじさんも、降伏したらしいです。
おじさんは、爪楊枝くらいなら挟めそうなくらいの、深ーい眉間のシワを、ひゅるひゅるひゅる・・・・と、アイロンでもかけたみたいにして、横に広げて行きました。
本に視線を落としたまま、鼻がかゆいのをガマンしているみたいな表情で、右の口元の端を、いびつに緩めました。
そして、メガネの奥から、横目で、ちらっ・・・・と「ちいちゃん」を見て、ちいちゃんと目が合うと、ガマンできずに、口元が、ぐわっ!と横に広がり、細い目が、もっと細くなり、でれっ、と垂れ下がりました。
まるで、深ーく潜水していたひとが、しゅるしゅる、っと水面にあがってきて、ぶはっ!と呼吸するみたいでした。
ちいちゃんと微笑み合ったおじさんは、そのあと、ママと目が合い、
「あはは・・・・いやいや・・・(笑)」
と、照れてるみたいな、困ってるみたいな表情で、もごもごとつぶやき、目尻を垂れ、微笑みのまま、視線を窓のほうに逃しました。
おじさんは、とっても、ステキな笑顔でした。
なんだか、すごく、穏やか〜な気分になりました。
子供のピュアな気持ちは、おじさんの、長年、手塩にかけて育ててきた、地割れみたいな眉間のシワも、消し去ることができるんだなぁ。
「ちいちゃん」もかわいかったけど、「おじさん」も、なんだか、かわいかったです♪
「ちいちゃん」ありがとうねー♪
「おじさん」も、ありがとうねー♪
もしかして、おじさん、「斉藤さん」だったのかな? なんてね(笑)
「おじさん」も、ありがとうねー♪
もしかして、おじさん、「斉藤さん」だったのかな? なんてね(笑)
そうでしょう。そうでしょう。きっと、おじさん
「斉藤さん」ですよ。
「ちいちゃん」ありがとうねー♪
「おじさん」も、ありがとうねー♪
「ゆきさん」も、ありがとうねー♪
5年前の日記でした〜★