赤茶色の絨毯が 敷きつめられている
車の往来のたびに 舞い上がり 目の前を色で埋める 色づいた落ち葉
まるで のしかかってくる様々な出来事を
するり・・・・とうまくかわしながら 風と戯れているようだ
着地しては 舞い上がり
風に漂っては 地に戻り
そしてまた トラブルがやってきて 揺さぶられる
ゆらゆらと ふわふわと 上手に受け止めて かわしていく 枯れ葉は人生の達人だ
木枯らしが仕事をし始めるこの季節は
なぜだか 感受性が膨らんで
枯れ葉でさえ ドラマティックなダンスに見える
夜の 黒
寒い季節は なぜ 夜が黒いんだろう
深く そして 濃い 暗闇の冬
光の 白
この季節になると 木々はライトアップされ 白くきらめく
この 黒と白の 相対が うまく調和して 美しい冬の夜を演出している
葉が落ち 裸になり やせっぽちで風に吹かれ 寒そうに見えていた木々たちが
まるで ウエディングドレスを着た花嫁のように 「別人の自分」を楽しんでいる
よかったね 綺麗なの着せてもらって
心なしか しとやかにみえる 寒い夜の 光の木々たち
昨夜の月は 黄色かった
まるで たまごの黄身のようだった
真っ黒な空の 高いところで
コンコン、パカッ と 生たまごを割ったようだった
ドロリと出てきた黄身は 落下しまいと 必死に空にしがみついているかのようだった
黄色い彼女の 熟れた体は 今にも滴り落ちそうで
両手を差し伸べて すくい上げてあげたくなる
でもそれは きっと余計なおせっかいだと思うから
その手を 胸の真ん中にそっとあてる
トロン・・・と わたしの心が 柔らかく とろけていった
