ふんわりと、やさしいキンモクセイの香りが、心の奥の柔らかいところををくすぐります。
思わず、立ち止まり、
目を閉じて、包まれるような幸福感を楽しみます。
脳の奥に残るような、心の底に張り付くような、
そんな、余韻のある素敵なキンモクセイの香り。
一瞬にして、わたしを幸福にしてくれる、魔法使い。
*
*
*
お洗濯が好きです。
そして、どうしても、日光をあてたいです。
部屋干しは、やっぱり好きではありません。
たくさんの洗濯物を窓の外に干し、カタカタカタカタ・・・・風に揺れて、奏でる協奏曲。
まるで、コソコソ話をして、うふふ、と笑っているよう。
その音を聞きながら、洗濯物の香りを嗅ぐのが好き。
注意しなければわからないほど、かすかに、風に乗って、窓の外からわたしの鼻腔へと届きます。
今日も「生きている」という実感が湧く、生活の香り。
*
*
*
お香が好き。 オイルもいいけれど、お香のほうがよく使います。
灯しているときの香りもいいけれど、その後、自分自身についた余韻の香りも好き。
外出先で、ふとした瞬間、部屋で焚いたお香の香りが鼻をくすぐります。
髪が揺れるたび、上着を脱ぐとき、ノートを開いたとき、エキゾチックなお香の香りが、ふわりとわたしをテレポーテーションさせます。
ときには、部屋へ戻り、時には、インドへと心を連れていきます。
お気に入りはCHANDAN。 インドでは最もポピュラーです。
*
*
*
夕方。
昼が夜に溶け込む、繊細な時間。
一日の中で、一番大好きなとき。
その、儚げな匂いが好き。
きっと、実際には匂いはないのだけれど、わたしの意識の中では、鼻の奥にせつない感覚があります。
温かくて、安らぎに満ちた匂い。
一日のお仕事を終え、家庭へと戻って行く、安堵の匂い。
隣近所から聞こえてくる、夕飯の支度の気配。
美味しそうな匂いが、母を思い出します。
安心で、安全で、愛に満ちた、家庭の匂い。
*
*
*
お部屋の小さな祭壇に、小さなお花を生けます。
こんなにちいさいながらも、植物が部屋にあるだけで、なんて落ち着くんだろう。
控えめなのに、存在感はずっしりと重たい。
お花をケンザンに刺すとき、少し茎を切ります。
茎からは、溢れんばかりの生命の匂いがします。
猛々しいほどの、命の匂い。
ああ、この子にも命があって、こんなにキレイに咲いてくれて、しばらくのあいだ、わたしと一緒に暮らすことを喜んでいてくれるといいな。
ありがとう、と心の中で言いながら、丁寧にお花を生けます。
*
*
*
早朝が大好きです。
夕方もそうですが、夜と朝の間も、じつは一番好きな時間帯。
「一番」がふたつあっても、いいじゃないか、と勝手にいいわけをします。
朝日が上がる瞬間の、期待に満ちた、希望を含んだ、あの独特な匂いが好き。
太陽は毎日あがって、そして、毎日、温もりをわたしたちに与えてくれる。
たとえ誰もみていなくても、たとえ誰も感謝しなくても、見返りを期待しないで、いつでも、愛を注いでくれます。
朝日を浴びると、自然に心の奥底が震わされ、感動で涙が出てきます。
自然と、感謝の気持ちが溢れてきます。
朝日が、大好きです。
いつでもどんなときでも、たとえ、つらいことがあったり、悲しいこと、ショックなことがあって落ち込んでいても、
朝日は元気をくれて、心が幸福に満たされます。
そういえば、
最近、朝からパソコンでお仕事することが多く、朝日を浴びてなかったな。
明日からまた、早朝ジョギング、再開しようかな。
輝きにあふれた、一日のスタートに。
二度と戻らない、「今日」というかけがえのない時間を感謝しながら。